第12話 追想


 ぼくが電装竜騎士団の転生兵として戦った物語は、これで終了。

 また機会があれば、ぜひあのドラグトゥーンと呼ばれる小型戦闘機に跨って空を翔けたいものだが、あの恐ろしい磨羯魚とまた戦わなければならないかと思うと、ちょっと自信がない。

 あのあとも何度か、田舎の法事でリナとは一緒に飛行機に乗る機会があったのだが、リナは二回目からはすっかり飛行機好きになってしまい、怖がってぼくの腕にしがみつくことはなくなった。彼女は機が離陸すると、いつも興奮して窓の外を覗き込み、天候や地上の景色のこと、主翼のフラップの角度などをぼくに報告してくる。

 ぼくはうなずきながら、彼女の頭越しに窓の外を眺め、立ち上る積乱雲の手前や、雪原のように広がる層雲の上に、電装竜騎士団の青い噴射炎を探すが、それを見つけることはなかった。正直もう一生そんなことないと思っていたのだ。

 だからあのとき、唐突に窓外を走るローレライのガンイーグルを目にして、心底驚いた。ぼくはその日、二度目の、そして今度は正式に電装竜騎士団の槍兵として出撃することになるのだが、それはまた別の物語である。いつかまた、機会を見つけて語ることにして、本日はこれにて一旦、筆を置かせてもらうことにする。

 

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電装竜騎士団の転生兵【短編版】 雲江斬太 @zannta

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