エピローグ:前途多難


今僕は病院のベットにいる。

内臓にまで到達していた切り傷だが、奇跡的にも全て縫合ほうごうできたと言われた。

何でも出血が適度にとどまり、縫合が済むと同時に切り傷すら見えなくなっていったらしい。世の中には何とも不思議なことがあるもんだ。


姉はイラついているように見せ、チラチラとこっちを心配してくれていた。


父も胸を撫で下ろしており、姉の対応を褒めていた。


一方、母は僕を見るなり卒倒した。

おかげで面会もそこそこに、母の精神衛生上、家族は早々と病室を去っていた。


一命を取り留めた僕。


「…ふう」


明日から月曜日、学校も始まる。

突如とつじょ始まった世界せかい日帰り生活だが、前途多難に感じた。


明日には異世界に戻ってるわけだが、はあ、キスの件どうしよう

ぎこちなくなったりしないかな…


とりあえずは少女と僕のキスの件である。


…あれ、これって事案か?


前途多難だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

違世界日帰り生活で、僕は一日一善を心掛ける。 矢多ガラス / 太陽花丸 @GONSU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ