第11話:盃
☆
「おい」
……!
ハッとなり顔を上げる。そこには忘れもしない酒神の姿があった。
…ああ
軽く
僕、死んだのか…
「おい、はよ盃出せ」
僕、未成年ですから
死んでも体は10代のままだった。
「…あーー」
すると酒神は何を思ったか、
「ほれ、盃出せ」
そして
「はぁ〜、とくとくとく」
何も
「ほれ」
次は酒神が盃を持って、酒壺を僕に差し出す。
…はあ
こうなればやけだと、酒壺を取って酒神に酌をする。
はーい、とくとくとく
「とっとっとお、へへ、
なかなか
…あ、そういえばあんたに聞いて置きたかったことがあるんだ
「んあ? なんでい」
あんた情神とか闘神とか、酒神以外にも地位を持ってるのに、何で酒神を名乗ってんだ?
闘神の方が
はっそんなことかと鼻で笑われた。
「誰かが出会い、幸せになる。めでてえ。酒がうめえ。
破滅に勝って、生きてる、めでてえ。酒がうめえ。
うまい酒が飲みてえから色々やってたら、こうなったんだよ、馬鹿野郎」
…うん、あんたは酒神だわ
「そんでこの盃よお」
これ?
「この数日間のお前の生き方、よかったぜ。
お前を救ってよかった。実に酒がうまい!」
……
「ほーれ乾杯だーー!」
僕らは
「っかあーー! うっめええ!」
……
盃は空なのに、酒を
ああ、そうか
「はらら〜、とくとくとく」
空の二杯目を自分で注ぐ酒神を見やる。
生き方を認められたのって、もしかしてこれが初めてかも…
「盃も
おら、さっさと行け」
…え?
「あの
そういうと酒神は、盃を掲げてニカッと笑った。
☆
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