遊びに来たよ!三原秀一編 後編

前回のあらすじ

本田苺宅にやってきた三原秀一だが、苺は不在であった。

そして、たまたま家にいた、弟・本田楓(初対面)に家に入れてもらったのである。

今は、ちょっと打ち解けてきたあたり。

by作者


「今日は、どうしたのですか?」

「ああ。別に、たいした用事じゃないが。

コンビニ感覚で遊びに誘いに来た。」

って言っちゃ失礼か?

まぁ、もう言っちゃったけど。

「なるほど。」

さて、どうしようか。

「あ、そうだ。」

持っていた、ビニール袋を開ける。

「これ、本田と食べようと思ってたんだけど、楓君にあげるから。」

そう言って、チョコエッグを手渡す。

あーあ。出すお菓子が二人ともチョコになっちゃったな。

「ほんとですか!!」

ん?なんか妙に嬉しそうだ。

まぁ、喜んでくれているならいいか。

「せっかくなので、二人でたべましょうよ!」

「おっ、そうだな。」

楓君がきいろ、俺がみずいろのチョコエッグをとる。

3個買って来たから、あと一つは本田が食べるだろう。

銀紙をはがしていくと、ぴりぴりという音と共に、少しずつチョコが見えてくる。

ちょうど、本物のたまごくらいの大きさだ。

チラッと楓君を見ると、めっちゃいい笑顔だ。

さっきまでの爽やかな笑顔と違い、すごく無邪気な笑顔だ。

えっ、どしたの!?

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

ずっと、甘いもの・・・特にチョコエッグが食べたかったんだ!

さっきまで、お客さんのお菓子を取っちゃダメかなぁって思って我慢してたけど、やっぱり僕は甘党なんだなーって思う。

「いっただっきまーす!」

一口目!カリッ、といい音がする。

ボリボリという、すごくいい食感のチョコ。それが、すこ~しずつ口の中で溶けていき、だんだんクリーミーな味が広がっていく満足感。

その余韻の中、二口目へ・・・!

チョコエッグだと、他のチョコより大きいから、まだまだこの幸せを味わえるのだ。


でも、自分では味わっているつもりなのに、あっというまに食べ終わってしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

楓君、めっちゃうまそうに食べるなぁ。

一口目は、嬉しそうにゆるんだ顔で、チョコエッグにかぶりついた。

そして、頬をチョコエッグでいっぱいにふくらませながら、いい音を立てて食べた。

キラキラした表情を見ても、本当に好きなんだなぁ、と思う。

二口目も、三口目も、食べ終わっても、ずっと幸せそうだ。


「俺の分もあげるよ。」

「あっ、いいえ、お構いなくっ。」

「いいや。あんまりおなかすいてないからさ。」

まぁ、別に一口も食べたくないほどじゃないけど。

俺より、楓君に食べられた方が、カカオも幸せだろう。

「僕も、おなかいっぱいなので・・・!」

楓君なら食べられるだろう。

チョコエッグを食べ終わったとき、残念そうな顔してたしな。

「まあ、いいからいいから。」

「・・・では、お言葉に甘えて♪」

少し照れながらも、また楓君は、おいしそうに食べはじめた。


楓君がチョコエッグを食べ終わるのを見届けてから言う。

「じゃあ、そろそろ帰るな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

家に帰ると、楓の元へ全力ダッシュした!

今日は珍しくリビング!!

「楓ー!!!!!」

「あっ、お姉ちゃんおかえり!

そうそう、今日さ、三原さんが・・・!」


三原が持ってきてくれたというチョコエッグを食べながら、2階に向かう。

甘党の、楓の前で食べたくなかっただけだけど、お行儀悪いかも。

・・・それにしても、このチョコエッグ!楓が言っていた通り美味しい!!


子供部屋に行くと、楓の勉強机の上に、何かが置いてあった。

見ると、チョコエッグの中に入っているような、小さなお人形が一つ。

その横には楓の、思い出の指人形が一つ。


楓ったら、かわいいことするなあ。


苺はその横に、自分のチョコエッグに入っていたお人形を置いた。


(終わり)

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平和ボケ。 夏目ぽぷら @hallocast

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