だらだら怪談

VLP

幼少期の記憶

小さな頃の記憶。皆さん残っていますか?


残っている方は、どこまで残っていますか?


なんでも、2~3歳の話せるようになった辺りの子供に、「お母さんのお腹の中で何してたの?」的な事をと聞くと、

「小さく丸まっていた」とか「きれいな音楽聴いてた」とか、胎児の記憶らしきモノが残ってるそうです。


そんな記憶、大人になるにつれ、段々と曖昧になり、いつの間にか忘れてしまう事もあるでしょう。


その幼少期の記憶。 私はその記憶を無くした事を覚えています。


これでは意味がわかりませんね? じゃあ言い換えましょう。私は、五歳の時、「ある事」がきっかけで、それまで覚えていた五歳前の記憶を、大部分消されてしまったのです。


・・・・では、その「ある事」、それについてお話します。


ある春の日、五歳の私は庭に面した部屋で、窓越しに春の太陽を浴びつつ、窓の方を向いてうたた寝をしていました。


うたた寝をし始め、寝てるか寝てないかの狭間、そんな所で私の前を何かが横切りました。っと言っても、私は部屋の中、横切った何かはすりガラスを通して向こう側、庭の方です。


一瞬、犬かな?っと思いました。 だってソレはすりガラス越しに見ても、茶色い色をしていたのです。   ただ、少しおかしい・・・


ソレはすーっと横切るのではなく、ひょこひょこと少し跳ねるように横切っていたのです。


犬じゃない?・・・  猿??  でも、猿なわけない・・・


それもそのはず、私の住んでる地域も、その周辺地域も、猿がいるような場所ではなく、ましてや、近所でペットとして猿を飼ってる人もいませんでした。


猿じゃない・・・・なんだろう??


私はぼーっとソレを見ていました、そしてソレも何故か私の前を何度も往復します。


そして、何度か往復したかと思うとソレは、ぴたっと私の前で止まりました。


???


そしてソレは、すーーっと私のほうに近づいてきます。


え?え?え?? 私はわけもわからず、ただただぼーっとソレを見てました。


段々近づき、すりガラス越しにも段々ソレが何なのかわかってきました。   ソレは・・・


顔、おじいさんのような赤ん坊のような  毛むくじゃらな 茶色い 顔。


あまりの事に私はわけが分からず、ただそのすりガラスに押し付けられた顔を見ていました。  そして、目があった? っと思うとソレは・・・


ニタァーーーーーっと笑いました。


な!?な!?な!?な!?


軽いパニックです。何故か体も動きません。  するとソレは今度はすーっと上の方へと顔を動かしていきます。  上、その窓は下半分すりガラスで、上半分は普通のガラスです。


私は何故かとっさに、「直接顔を見たらダメだ!」っと強く思うと、バッと体が動き、手で顔を覆って小さく丸まってうずくまりました。


何分たったか、ちらっと外をみてやると・・・ソレは忽然といなくなっていました。


アレって一体なんだったのだろう??  後に疑問だけが残りました  が、一つだけ私の中で確信がありました。


「・・・あ・・・ボク・・・記憶無くなった・・・」


っと。


さて、一体あれはなんだったのか? 大人になって今思うと、アレは妖怪ひょうすべだったのかなあ  なんて思いますw


ひょうすべ。九州地方の妖怪で、厄災の塊の様な妖怪、猿ともカッパとも言われ、見ると病気になる・勝手に風呂に入られて、その水触ると死ぬ・こっちを見て笑うが、一緒に笑うと死ぬ・・などなど。


なかなか厄介な妖怪です。


記憶を消されるというのは聞きませんがw一番似てると思うのがこれでしたw


さて、もう一度訊ねますが。 みなさん


幼少期の記憶   いつまでありましたか?

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