しっかり読み応えのある、優しい気持ちをワンコと共に運んでくれる物語。
誰が信じることなど出来ましょう、こちらの作品がたったの1000文字で綴られていることなど。
あたしはにゃんこ派だから、などと仰らず。動物を愛する方、いや、すべての皆様に是非ともご覧になっていただきたい愛に溢れた作品です。
なぜ、御作者様の作品は、描写の無い行から陽だまりが溢れて来るのだろう。
いつも幸せな気持ちと、ぽかぽかなワンコたちの香りが私を優しく包むのです。
優しさがそのまま活字としてそこに置かれているかのよう。
本当は丁寧な言葉のセレクト、幾度となく読み返す丁寧な御作風に裏付けされていることは承知しているのですが、ついそのように感じてしまうものです。
しかし、コテツ、好きすぎてもうどうしましょう^^
でもあえて言おう! 私はバカな子だと思う!
そして私は、バカなワンコが、誰より大好きだーーーーーーーっ!!!
コテツ君の、湿った鼻の先。
飼い主に大切にされて幸せな日々を過ごすこの雑種犬の鼻の先は、いろんなものをくっつける。
それは、道端の草だったり、家の隅のホコリだったり——そんな、一見些細なもの。
でも、愛情を持ってそれを見つめる飼い主の目には、その小さなものの一つ一つにさえ意味がある。
そしてある日、コテツの鼻にくっついた落とし物が引き寄せたものは——。
1000文字という制限の中で物語を綴る企画への参加作品ですが、作品の表情の細やかさ、溢れるように温かい情景の描写は、その字数の制限を全く感じさせません。短い文章の中にギュッと濃縮された作者の高い筆力を、存分に味わうことができます。
日々の小さなことを愛情を持って見つめる幸せ。
そんな気持ちを失わずにいれば、幸せはきっといつもそばにある。——時が流れ、何かが少しずつ移り変わっても。
そんなことを優しく教えてくれる、胸がじわっと熱くなる物語です。