第2話 拭うモノ

その方は映画が好きでよく観に行った


その日も青春時代に良く観た映画が


再上映といっても3本1000円くらいだったか


暇つぶしに観に行った



若かりし頃に観た好きな映画ということもあって


思い出を浮かべつつ


主役になったつもりでうっとりと


字幕のセリフを追っていると



「横から号泣が聞こえて来た」



そうなるとムードもへったくれもない


それでもため息つきながら画面を観ていた


すると、次のいいシーンの場面でも泣き声がした


いいかげん『ふざけんな』と頭に来て


暗がりの中、声のする方を見た



映画館はガラガラ、お客はほとんどいなかったので


どこからしたかはすぐにわかった



思わず声をあげそうになった



そこに居たのは


「ガイコツが映画を見ながら泣いていて涙をハンカチで拭ってる」


光景だった



え?ええ?なに?


そんな感じに少し焦るも 、目線が合い(眼球無いけどね)


(´・ω・`)あ、すいません。。。みたいな会釈をして来た




意外とイイ人かも




『死んでも映画で泣けるんだな』とあらためて画面を観た


初めこそ驚いたものの



ガイコツさえも「映画のキャスト」と思ってそのまま最後まで観ました





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怪を詠む。 怪談自虐テロリスト さる。 @saru_kaidan

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