怪を詠む。

怪談自虐テロリスト さる。

第1話 糸

リンさんのお婆ちゃんは喉に糸を詰まらせて亡くなった

でも家族は自業自得だと言う


人のモノを取っていた罪だ

そういう事はやっぱダメだよね。


リンさんは残念そうに言う


リンさんの家系は人の吐く「糸」が見える

特にお婆ちゃんは見て、触って、食べる事ができ、病気怪我なく長生きしたそうです


産まれるたての赤子は鮮やかに輝く糸を衣のように纏い、死期の近いものは白く澱んだ糸を繭のように包むと言う


リンさんは見えたり、見えなかったり

一度だけ「糸」を食べたそうですが

匂いも味も無く、ただとても気分が悪くなったそうで、以来口にはしていない


…ウチのお婆ちゃんは糸を喉に詰まらせて亡くなったんだよ…


リンさんの家族が居た村で誰かが産まれば

祝福する周囲の中にお婆ちゃんが


「元気に育つようお呪(まじな)い」だよ、と

「古くから伝わる何か」をしていた

小さい頃は何だか解らなかったけど

今思えば「何か」を絡め取っていたのかも


リンさんは薄笑浮べて答えた


でもね、産まれて来たからとはいえ

死期が近い子も悲しいけど居る


色鮮やかに輝く糸も

死期が近い澱んだ糸も


「白く見えてしまう」


高齢だったことで見分けがつかなかった

だから死期が近い「糸」を食べてしまった


だから『自業自得』。

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