第6話 【終章】僕は曰く付き
100%実体験、いかがだったでしょうか。
さて、これを書いている現在、実はあの曰く付き物件には住んでいません。数年前母方の祖母が他界し実家が空き家になったので引っ越してきました。あの家にはまだ兄が1人で住んでいますが近く引っ越す予定だそうです。そうすると築約30年目にして初めてあの物件が他者に渡るということになります。その人や家族に何かが起こるのか、何も起こらないのか。それは予想もつかない事です。
同時に数十年前に新築で購入し、今まで何も起こっていなかったという今の家に引っ越してきて数日後、寝ている時に突然枕を引っこ抜かれました。ベッドの下へ掛け布団を引きずり落とそうとする奴もいます。相変わらず勝手に物が動いたり、乾いた破裂音がしたり、1人でいても常に家は賑やかです。普通の物件に引っ越しても続くということは、本当は僕自身が曰く付きなのかもしれません。
でも僕は今でも彼らのことが好きだし親近感を持っています。
昔、序章で書いた霊媒師に
「一時的な効果しかないだろうけど、一応霊道をずらしてはみる」
とその場凌ぎの対処をしてもらった時にそれを実感しました。
家庭の事情で家での時間はほとんど1人だったのですが、本当に僕以外の気配が無いのです。ラップ音もしなければポルターガイストも起こらない。しんと静まり返った家にいるうち、何だか自分の心まで空っぽになってしまいました。
だから僕はお願いしました。
「除け者にしてゴメン。皆、戻ってきて。一緒に遊ぼう」
どうやら僕は”他の人には見えない人達”がいないと物足りないようです。生きた人間としては厄介な性質を持ってしまいましたが、後悔はしていないし改善する気もありません。僕にとって彼らは大切な友達なのですから。
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。お憑かれさまです。
100%実体験~生まれも育ちも曰く付き物件~ ビス @vis0501
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