まず『異国の怪談』という字面自体が既に面白いですよね。どんなものが出てくるんだろう? と、これだけでまず私はこの作品に惹かれてしまいました。
そして実際に読んでみると、まさに期待通りの作品が出てきます。
中国にベトナムにシンガポールに……様々な国で起きた奇妙な事件の数々は、恐怖というものはワールドワイドであることを教えてくれます。
同時に、住宅事情やお祓い事情、死者に対する文化の違いなど、各国独自の色を含んでいて、そこがまた読んでいて面白いところです。
何より、淡々とした語り口が良かったです。
怪談を語れと言われると恐怖を煽る為にゴテゴテと飾りたくなってしまうものですが、余計な装飾をしないこのような語り口の方が、かえって怪談らしいと私は感じます。
もっと多く読まれてもいいはずだと思いました。