エピローグ~明日の光~


 2020年1月20日。午前4時半ごろ。

 赤ん坊の泣き声がする。

 涼は寝不足の目をこすりながら、駆け込んだ。

「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」

「お、女の子……うっく、咲良にそっくりだ」

 生まれたばかりの赤ん坊に最愛の人の面影を感じる。

「ありがとう、咲良。ありがとう。お疲れ様でした」

「顔がぐちゃぐちゃですよ……それにこの子はあなたに似てますよ」

「……どっちでも良いよ。こんなに元気に泣いてるんだ」

「ふふっ……名前決めてくれました?」

 赤ん坊につられて泣き顔の涼は、涙を拭いて、意志のこもった瞳を咲良に向ける。

「朝日(あさひ)、朝が来たことを知らせる暖かい光。朝日……どうかな」

「あさひ……朝日……良いですね……」

「あの日、パリでみた朝日が忘れられなくて、暖かい光、新しい生活が始まる前触れ。ほら、今日もまた新しい一日が始まるよ」

「そうですね……朝日、この世界に生まれてきてくれて、ありがとう」



 END

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ターフより愛を込めて さいぐう @SaiguWRITE

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