#1 晴れときどき

ピピピピ...

携帯のアラームが僕に朝を知らせる。

「ん...もう朝か。」

僕は今朝見た奇妙な夢を見ていたせいか寝てる気がしていなかった。

(なんだったんだろう、あの夢は...)

夢のことを考えながら準備を済ませ、私は学校へと向かった。

学校は桜並木のある川沿いを歩いて数分のところにある。いつもと変わらない道、いつもと変わらない景色、いつもと変わらない日常が過ぎていった。その時後ろから大きな声がした。

「ゆーうまーー!」

この声の正体はだいたい検討がつく。きっと同じクラスの稜人だ。

「おはよう、稜人、今日も朝から元気だね」

「俺はいつも元気だ!そんなことより俺今日変な夢を見たんだよ!」

「...夢?」

「そうそう!」

僕は少し驚き、聞き返した。

「どんな夢?」

「えっと、なんか周りが真っ白で、誰もいなかったんだけどずっと歩いてたら変な女の人がいた!名前も聞いたんだぜ!えっと...」

「愛葉」

「そう!...ってなんで知ってるの?!エスパー?!!」

僕もその夢を見た。白い世界。謎の女の子、愛葉。

「僕も同じ夢を見たんだ。偶然だね」

2人は学校につくまでその夢のことについて話した。しかしわかること、気づいたこと。結局知れたことは何も無かった。


―キーンコーンカーンコーン

「おはよう優真」

僕に声をかけて来たのは幼なじみの風間希美、クラスでは学級委員をしている。

「おはよう希美」

これも何気ない日常だ。いつもと変わらない。

ガラガラ...

「はい、席についてーじゃあ風間、号令」

「気をつけ、礼」

「今日はなんと転校生が来ています。といっても理由が理由で半年しか居られないんだけどな、とりあえず挨拶」

「結城愛です!よろしくお願いします!」

とても元気のある子だ。ボーイッシュな感じ、中学はソフト部かなんかだろう。

「じゃあ席は...葛城、お前の隣な」

そんな子がまさか僕の席の隣とは...僕の性格はみんなから見ても真反対だ。心の中で先生を恨んだ。

彼女は席について早速僕に話しかけた。

「えっと...葛城クン?名前は?」

「優真。優しいに真実の真って書いて優真」

「そっか!じゃあユーマね!よろしく!私は愛って呼んでね!」

「わかった、えっと...結城さんよろしくね」

「もう!愛で良いのに」

想像以上に元気な子だ。これはよくマンガ見る子だ。うん、そうだ。

そうして時間が進み、お昼休み。

「ユーマは何部入ってるの?」

「僕は部活は入ってないよ、強いて言うなら地元でボランティア、かな」

「そっかー!偉いんだね、優真くん。地域のためになりたいんですっ!って感じだね」

この子、一日目なのにめっちゃ元気。すごい。普通緊張とかするものじゃないのか。

「そんなことはないよ、暇なんだよ家にいてもね、ははは」

「そうなんだ〜、じゃあ今度私も行くね!ボランティア!教えてよ!」

「う...うん、いいよ、いつでも」

彼女は僕の答えを聞いて、素直に喜んでいた。でも私は違和感に気づいたのだ。彼女、目では笑っていない。何なんだろうこの感じ。どこかで...

「ところで、愛葉って女の子...知ってる?」

突然彼女から耳にした名前、それはあの時見た夢のなかの女の子の名前だ。


「...知ってる?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

晴れた日の雨 まーに @Marni

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ