第4話 委員長、身に覚えのない嫌疑にかけられています
「お前か!!祐介兄様をたぶらかした奴というのは!!」
「いやいや君達誰だよ」
「誤魔化す気なの?!信じられないっ」
絶賛リンチ?中なのは風紀委員会のヒラ委員、太田いつきです。あ、苗字そういえば名乗っていなかったですね。太田といいます。ごくごく平凡な一生徒です。
平凡を貫いている俺ですが、今現在よくわからない状況に置かれています。突然教室に中等部の顔のよく似た可愛い男女が来たと思ったら僕をご指名して、あれよあれよという間にお隣の棟である中等部の校舎裏に連れていかれて今に至るのです。
俺は高校からここの学校に来たから中等部の校舎の方には初めてだと思ってたら、たぶん双子、の2人は激おこ、だったわけで。
普通に会話しようとしても可愛い顔を凄ませて怒るばかりで会話になりゃしない。いったいこの不思議体験はなんなんだ?年下に呼び出されて怒られてるこの体験は。
「いや、誤魔化すとかじゃないし…」
「言い訳??ありえないよ」
「信じられません…ああ、お兄様騙されてるのよっ!」
「てか祐介って誰」
純粋な疑問をぶつけてみる。そもそも昼食途中だったのにこんなとこ年下に連れてかれて…正直すこーし心の広い俺も怒っている。状況説明くらいしろよ、と。
「「よ、呼び捨て?!」」
「…は?」
双子はやはりシンクロするのか、俺の言葉に2人して絶句して声をあげた。呼び捨てじゃねえから。お前たちのお兄様だかなんだかわからん祐介とやらが誰なのかを聞いてんだよ。この俺の状況はその祐介お兄様がほぼほぼ関わってることくらいしかわからんから聞いてるのに。
「も、もうそんな愛称で呼び合う仲だなんて…ま、負けたわ…」
「なにいってんだ桃子!そんなことで負けたとかいうなよ!ここで俺たちが引き下がったら…お兄様はどうなるんだ!」
「そ、そうね…桃子動揺しちゃった…や、やっぱりこの平凡男にお兄様は騙されてるだけなのよ!!」
「そ、そうだよな!お前どうやってお兄様をたぶらかしたんだ!ま、まさか、手、握ったり、とかして、迫ったんじゃ、ないだろうな!」
「ちょ、ちょっと紅(こう)なにいってるの!は、破廉恥ですっ!」
「な、なんだよ!桃子だって…」
2人で向き合って相談をしはじめたらしいが、いかんせん声がでかすぎるので内緒話でもなんでもない。しかも内容が謎すぎてもはや俺帰ってもいい?状態である。たぶらかすとかなに…
いや…待てよ。この眼を見張るような可愛らしい容姿、この自分の意見を貫く信念と謎の自信、加えて全くと言っていいほど話が通じないこと…全てを踏まえると俺でも一つの仮定に辿り………つきたくないけど…わかってしまった。
てか、あの人の名前、そういえばそうだったような気がしなくもない。
「いつき!!!迎えにきたぞ!」
「出た」
幽霊の方がまだよかったかもしれない。思わずげんなりとした声を漏らしてしまった。案の定出たのは幽霊さんではなく、我らが風紀委員長であったのだ。
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