第2話

「ぉるくん...透くん」

この声は叔母さんだ。


「あれ?叔母さん?」


「随分寝てたわね。」叔母さんは笑顔で返事をした。


「え?俺、寝ちゃってました?」


「ええ...あなた、みんなにそそのかされてお酒飲んでたわよ。高校生なのにだめよ?」


なるほど、通りで頭が痛いわけか

「すいません。気をつけます。ところでみんなは?」


「みんなでカラオケ行っちゃったわ。光が必ず来なさいって言ってたわ。でももう夜遅いから、酔いが引いたら今日は帰りなさい。」


「はい。すいません。ご迷惑をおかけしました。」


あー。俺は最低だ。叔母さんに迷惑をかけてしまった。でもその反面、話せて嬉しかった俺がいる。一体どこまで心を奪われているのか。


「透くん。酔いが引くまでお話しましょうか。」


「ええ。もちろんです。」

(やったぁ。ラッキーだな。)


「光とは学校でどんな感じなの?私の前だとあんな感じだけど...」


「学校でもあんな感じですよ。」


「そうなの。ごめんなさいね。迷惑かけてないかしら?」


「いえ。ずっと前からあんな感じなんでもう慣れてます。それに、いざとなったらいつも助けてくれます。」


「そう。良かったわ。昔からずっと仲いいわね。これからもよろしくね。」



「ええ。こちらこそよろしくおねがいします。」

だめだ。すごい緊張しちゃう。変に思われてないかな。一体俺は、どんな顔してるんだろう。


「じゃあそろそろ帰りなさい。気をつけてね。」


「あ、はい。今日はごちそうさまでした。」

と、言いながら立ち上がろうとした。


ふらっ...


「ちょっ...透くん!きゃ!」


俺は倒れてしまった。やべえ、かっこ悪いところ見せちゃった。ところでこの右にある柔らかいものはなんだ?


「透くん...手が...」弱々しい声が聞こえる。


「え?あ、す、すいません!大丈夫ですか?」

すぐに手を離して。叔母さんから離れた。大丈夫ですかって、大丈夫じゃないに決まってるだろ。俺の馬鹿野郎。


「...」


「...」


沈黙が続いた。


やばい。どうすればいいんだよ。これからどんな顔して叔母さんに会えばいいんだ。もーどうでもいいや。この際、気持ちを伝えよう。言うしかない。全てを捨てて気持ちをつたえるんだ!


「あの!叔母さん!」



「ただいまー!ってまだ透いるじゃん!てか2人で床に座って何やってんの?」


光が帰ってきた。


「いや、これは...」


「今、透くんとお喋りしてたの。もう帰ろうとしてたのよ。」


床でお喋りって流石に無理があるだろ。光も疑っているに違いない。


「そーなんだ。まあいいや。透、送っていくよ。」


なんであの対応で納得できたのか。不思議だ。が、今回は助かった。


「うん。でも1人で帰れるから。光、今日は誕生日おめでとな。じゃあ明日、学校でね。叔母さん、お邪魔しました。」


「オッケー。おやすみ透。」


「またいらっしゃい。透くん。」笑顔で返された。笑顔の中に悲しさのようなものを感じた


俺は光の家を出た。帰り道、最後の叔母さんの顔をずっと考えていた。


家に着きベッドに入った。

(これからどうやって叔母さんに会えば...)


俺は心残りがあるまま眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

朝日 ズンの村 @miona

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る