朝日
ズンの村
第1話
「もう朝か。」
俺は朝が嫌いだ。朝が来ると寂しくなる。あの辛い日々を思い出してしまう。
時はさかのぼり八年前
俺、村上透は恋をしている。普通の高校生のような恋ではない。決して叶ってはならないものだ。誰にも言えない。誰にも知られてはならない。
今日は従姉妹の誕生日パーティーだ。かなり大掛かりなもので身内が全員参加しているらしい。
集合時間に1時間も遅れて従姉妹の家に着いた。
「透!遅いよ!もう始まってるよ。」
このうるさいのが従姉妹の今野光だ。同い年でとても頼もしくて綺麗だ。誰もが彼女を好きになってしまう。
だが、俺の気持ちは彼女にへのものでは無かった。
「透くんいらっしゃい。」
この声だ。この声、この顔。俺の気持ちは光の母親の菜月にあった。
「お、おじゃまします。叔母さん。」と俺が言うと、
「今日は光のためにありがとう。」と優しい声で言われる。
菜月は俺よりかなり歳上の42歳。にしては若く見える。光と同じようにとても綺麗だ。家族は似るものだと、ふと思った。俺は気づいたら菜月に心を奪われていた。彼女に会う度に好きになっていく。でも彼女には夫もいるし、光だっているのだ。絶対に叶わない。叶えてはいけない。
「透、なにぼーっとしてんの?女のことでも考えてたんでしょ?」
光は勘の鋭いやつだ。
「はやくご飯食べよ?今日は私のことだけ考えなさい。いいわね?」
「もちろんだよ。光、誕生日おめでとう。」俺は言った。
(ごめん光。俺、叔母さんのことしか...)
こんな気持ちを抱きながらパーティーに参加した。
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