第5話



「女の子がこんな夜中に一人であぶないてぇ!送ってく」


陽介の心遣いを断って、ひとりの帰り道。


ラーメンを食べ終えた私は、家の近所のコンビニに寄った。


なんだか飲み足りない感じがしたので、大好きな梅酒と、


あと朝に飲む豆乳がきれてたので、それもついでに買ってこうかと。



「あれ、彩乃?」


「あっ、美早紀」


お酒を選んでいるときに声をかけてきたのは佐口美早紀さぐちみさき。彼女は高校三年生のときのクラスメイトで今日の同窓会にも出席していた。


「なに~まだ飲むの?」


「うん、なんかあんまり飲んだ気がしなくて」


「あ~確かに!角田にめっちゃ絡まれてたもんね」


「ま、そんなとこ。美早紀は?二次会行かなかったの?」


参加しなかった私が言うのもなんだけど。


「お開きになった後、各々やるみたいだったよ。あたしはめんどくさくてどのグループにもついてかなかったけど」


そういってハイボールを手に取った。


「なんだ、美早紀も飲むんじゃん」


だって飲み足りないんだも~んと言って笑った。


「でもさ、サヤカって昔から高校の時からああだよね。自分から招集かけといて突然姿消してさぁ~」


おつまみを選びながら彼女が言う。


「確かに、自由人ではある」


私は明るくて元気でさっぱりしてて付き合いやすいと思うけど。


「よし、チータラにしよ。彩乃も飲みすぎんなよ~」


彼女はレジに向かって行った。




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秘事は睫 宇津井あきこ @DmkzmIN

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