リョガン記(2

中水月から白月まで暗がりの都に遊ぶ

藁裂きの糸に会う

黒い鼠の人は言う

食べる

帽子猫の人は言う

隠す


火月から小月まで天高き谷に下る

流れる骨に会う

積み上げる愚者の人は言う

産む

白い花の人は言う

まわす


小水月から赤月まで露濡れの草を踏む

転がる山に会う

名もなき人は言う

忘れる

名もなき人は言う

見る


    (リョガン記 西方 深浪の年)

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約定の守り刀 謡義太郎 @fu_joe

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