第4話 ウディ・アレン版『下宿人』

 21世紀のイギリスは金髪美人に支配されていた。

 新聞社のデスクもテレビのアナウンサーも、下宿の女主人もその娘も、娘の恋人もみんな金髪美人。

 どういうわけか200年ぐらい前からイギリスでは金髪美人しか産まれなくなって、おまけに不老不死で、銀の銃弾で撃っても死なない。

 そんな世界で下宿先を探す、毎週火曜日放送されるミステリードラマのシナリオライターであるアルビー・シンガーは、ここはそもそもぼくの脳内世界で、ぼくがどんな話を考えてもプロデューサーと監督はいつも被害者を金髪美人にしてしまう、となげく。

 ところが彼がその世界でできた恋人に恋の歌を歌うと、彼女は失神して死んでしまい、その結果金髪美人世界では彼の歌だけが金髪美人を殺せることがわかる。

 おかげで主人公は、そんな世界にうんざりして、一度は死んでみたいと思っている金髪美人集団に追っかけられる。

 最後に主人公の妹であるプロデューサーのレッティ・アロンソンが出てきて「やっぱこの話やめようよ、ウディ。そりゃー主役にトム・クルーズが使えれば考えてやってもいいけどさー」って言われておしまい。

 余談ですが実際のレッティ・アロンソンも金髪美人です。昔は金髪美人だった、って言うべきか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウディ・アレンによるヒッチコック映画のリメイク るきのるき @sandletter

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ