GUN! GUN! GUN!

  題名から、つい異世界の騎士物語かと想像してしまい、冒頭が冒頭なだけに、ああやっぱなりと誤解しつつも、しばらく読み進めてしまったのだが、内容は現実世界のガン・アクション。

 主人公は死刑になるところを間一髪救い出されて、防衛省の特殊部隊にリクルートされる。そこはテロリストに対して敢然と戦いを挑むプロたちの戦闘部隊であった。

 題名からはちょっと想像つかないが、内容はテロリストやヤクザの組員に対する激しい銃撃戦が主体のアクション物。主人公が所属する組織が、一般には秘匿された特殊部隊であり、通常の警察でないところがミソ。
 よって、犯罪者を逮捕するのが目的ではない。ヤクザと見たら射殺オッケー。反撃上等で、正当防衛とか専守防衛とかいう文字は、彼らの辞書にはない。
 撃って撃って撃ちまくる、ファイヤー・パワー全開の爽快銃撃アクションである。

 個人的にはずいぶん昔に読んだ「マック・ボラン・シリーズ」をなぜか思い出してしまった。

 テレビドラマの「大都会」や「西部警察」なんかを想像してくれても構わないが、設定的には「大激闘マッドポリス」とか「ゴリラ」(の初回スペシャル)とかが近いかもしれない。

 そのせいだろうか? おっさんどものキャラの立ち方が強烈なのに対し、多数登場する女子たちの個性がちょいと弱い気がするが、それはこれからおいおい書き込んでくれることだろう。


 とにかく激しい銃撃戦。そしてつぎつぎと登場する銃器。
 銃器に関しては、作者が詳しいところにもってきて、この世のすべての銃を出すつもりであるのか、とにかく種類が凄い。おまけに一行くらいの短い解説が加えられているのだが、これが的確かつ明瞭でアクションの流れを殺さない。

 GUN好きには絶対にお勧めだが、「銃が出てくる小説を書きたいけど、よく分からないし」という書き手の方にもお勧めする。第一話を読むだけで、一通りの銃には詳しくなってしまうし、簡単なメカニズムや弾薬の種類まで理解できる。とにかく解説が初心者にもやさしい。

 正直ぼくも、この作品を読んでMP5(あの『ダイハード』に出て来た機関短銃)がオープンボルトでないなんて初めて知った。これはくどくど解説されたのではなく、何気ないキャラクターの仕草で示されていた。


 とにかくGUN。銃撃戦。
 これは異世界かと思うほどに弾薬が消費されているのだが、もしかしたら近未来の日本の姿なのかもしれないと思うと、ちょっと怖い。

 そうして、そういう流れで読んでいくと、第一話のクライマックスで全身に痺れが走るほどの興奮を味わうことが出来る。ここまでの銃撃シーンにリアリティーがなかったら、あの場面はたぶん陳腐なものになってしまうことだろう。

 読む人を選ぶこと必至の本作であるが、選ばれた読み手が興奮することは間違いない。
 こういう話を読みたいと思っている人と、そして「今この話を読まなければならない」人に、本作を強く推します。