豊かなあんかけうどんの描写から、誰かを想う熱い気持ちが溢れ出す

あんかけうどんを食べるその様子が、ありありと浮かんできました。
見た目のぷるんとした冷たい感じ、けれど箸を入れてうどんを引き出した時の出汁の匂い、立ちのぼる湯気、口に入れた時のちょっと火傷しそうな熱さ…。
視覚、嗅覚、触覚、味覚と、たいへん豊かに描かれていて、あんかけうどんを「食べる」ということを読み手に追体験させるような見事な描写でした。

あんかけうどんの描写が豊かだったからこそ、そこから派生していく拓の秘めた思いにも、不思議な臨場感が生まれます。
外から見ただけでは分からない、誰かを想う熱い気持ちが、とてもリアルにに感じられました。

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