おわりに
まとめ
簡単ではありますが、本稿ではカクヨムの特徴であるレビューに着目し、ある一日のレビューを集計して分析しました。その結果、以下のようなことが分かりました。
まず、レビューの中身としては、★三つ評価が圧倒的に多いことが確認されました。タイトルだけのものから数百字にわたるものまでレビューの長さは多様です。
レビューによる発掘機能という点では、★の数が少ない作品が特にレビューされやすい傾向、古い作品でもある程度のレビューが投稿されている傾向が明らかになりました。
レビュアーのレビュー数の分布からはスケールフリー性が示唆される一方で、被レビューに関してはある種の混雑状態が発生しており、スケールフリー性を低めることに成功しているように見えます。作品内に閉じている応援コメントや他媒体でのレビュー(アマゾン等)と比較して確認する必要がありますが、サイト全体に周知されるというレビューの仕組みがこのような挙動につながっているのではないかと考えられます。
書き手と読み手の一体化という視点に立つと、レビュアーの多くは作者であり、逆に作者の多くはレビュアーであることが示されました。先行する小説投稿サイトや、例えば動画投稿サイトのような他分野のUGCを扱うサイトでもここまでの双方向性は実現していないと考えられ、レビュー機能の貢献が示唆されます。
他方、レビューをきっかけとした反応の連鎖に関しては、分析期間の短さもあり、存在を示唆するにとどまりました。
本稿の分析で未解明の内容としては、レビューが持つ特異なネットワーク構造が、フォローやPVといった他の指標にどの程度影響を及ぼしているかが気になるところです。
また、もともと読み手であった人がカクヨムでの活動を通じて触発され書き手になる、といった動きが発生することが、書き手と読み手の一体化という意味での究極的な成果であると思われますが、長期的な分析を行ってそういった動きを明らかにしていくことも重要であると思われます。
(運営さんはどうせデータを持っているんだろうから開示してほしいです)
(でも今秘匿されているということは経営上の戦略でそうしているんでしょうね……)
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