ある日の新着レビュー

レビューの対象

　本論と順序が前後しますが、レビューの対象について見てみたいと思います。

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　まず、被レビュー作品の長さと連載/完結を示します。『小説家になろう』では一話完結の作品を「短編」と呼んでいますが、ここではカクヨム基準での類型に合わせています。また、文字カウントは『小説家になろう』の表示をそのまま流用していますので、方式の違いによるずれが生じている可能性があります。

表1：【小説家になろう】被レビュー作品の長さと連載/完結

長さ…一話完結…複数完結…連載中……計

短編………**4………**2………**5……*11

中編………**0………**3………**8……*11

長編………**0………**3………*15……*18

__計………**4………**8………*28……*40

表2：【カクヨム】被レビュー作品の長さと連載/完結　＜再掲＞

長さ…一話完結…複数完結…連載中……計

短編………*34………*19………*30……*83

中編………**0………**4………*14……*18

長編………**0………**9………*16……*25

__計………*34………*32………*60……126

　一見して気づくのは『小説家になろう』のレビューにおける連載中作品、長編の多さです。

　連載中作品について、本編ではカクヨムでもかなりレビューされていると指摘しましたが、『小説家になろう』はその比ではありません。もっとも、短編の連載中作品へのレビューは必ずしも多いわけではなく、ある程度の長さに達してからレビューされる傾向にあるようです。これは超長期に連載する大作が多いという『小説家になろう』の作品傾向を反映した結果化kか知れません。

　短編に対するレビューの多寡の差はより顕著です。カクヨムでは複数の短編コンテストが読者選考期間中であることを考慮し、コンテスト作品を除いた値も算出しましたが、大きな傾向は同じでした。

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　次に被レビュー作品の最終更新日を比較します。

表3：最終更新日の比較

………………小説家になろう…カクヨム＜再掲＞

当日・前日…………*26………………*55

一週間以内…………**9………………*20

一ヶ月以内…………**1………………*13

三ヶ月以内…………**0………………*13

__半年以内…………**2………………*12

半年超経過…………**2………………*13

________計…………*40………………126

　上の、連載中に対するレビューが多い傾向の裏返しとして、直近に更新された作品が極めて多いことが指摘されます。最終更新から1か月以上経過した作品に対するレビューは1割しか存在しません。『小説家になろう』は歴史が長く、カクヨムとは比較にならないほどの過去作の蓄積があることも併せて考えると、驚くべき結果です。

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　最後に、被レビュー作品の累計ポイント数とカクヨムの累計★数を比較します。『小説家になろう』のポイント数はブックマーク(カクヨムで言うフォロー)の数に2をかけた点と、各読者が2~10点で入れる評価点の合計です。ブックマークが反映される点、レビューから独立している点が特徴的です。本文でも引用したromuniさんのエッセイと、『小説家になろう』の佐々木尽左さんのエッセイを比較し、各点数帯の作品数の構成比がほぼ同じになるように配分しましたが、ポイントの性質と合わせて比較には限界があります(特に作品数が少なくブレの大きい点数帯Ⅴ～Ⅶ)。

表4：被レビュー作品の累計ポイント数

点数帯…ポイント……レビュー数…構成比(%)

Ⅰ………***0～**24……**8…………*20.0

Ⅱ………**25～**49……**2…………**5.0

Ⅲ………**50～*249……*15…………*37.5

Ⅳ………*250～*499……**4…………*10.0

Ⅴ………*500～*999……**2…………**5.0

Ⅵ………1000～4999……**2…………**5.0

Ⅶ………5000～____……**7…………*17.5

表5：被レビュー作品の累計★数

点数帯……★の数……レビュー数…構成比(%)

Ⅰ………***1～***9……*57…………*45.2

Ⅱ………**10～**19……*16…………*12.7

Ⅲ………**20～**49……*18…………*14.3

Ⅳ………**50～**99……*14…………*11.1

Ⅴ………*100～*499……**9…………**7.1

Ⅵ………*500～*999……**5…………**4.0

Ⅶ………1000～____……**7…………**5.6

　被レビュー作品が得ている評価についても、『小説家になろう』ではより上位の作品にレビューがなされる傾向があります。作品ベースでⅠで下位8割程度、Ⅰ～Ⅲで同9割程度ですから、この辺りに壁があるようです。

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　以上の結果をまとめると、カクヨムのレビューについての分析で明らかになった過去作品・マイナー作品の発掘というはたらきが、『小説家になろう』においてはさほど明確ではないということです。

[1]『カクヨムのアプリを作ってはいけないそうです』「第42話　２０１７年２月５日　ジャンル別の件数と星の分布」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054880616271/episodes/1177354054882555828

(2017年6月7日閲覧)

[2]『『小説家になろう』をデータ分析してみた　２０１７年版』 「『小説家になろう』全体はどうなっているのか？」

http://ncode.syosetu.com/n5628dw/2/

(2017年6月14日閲覧)