ある日の新着レビュー
川内重信
はじめに
背景と目的
他の類似サイトとの比較において、カクヨムを特徴づけるのは何と言ってもレビュー機能ではないかと思います。レビューが目立つようなインターフェイスになっていますし、実際のレビュー活動も極めて活発に行われています。
しかしながら、このサイトで行われているレビューが量的・質的にどのような性質については、個々人の感覚的な理解に依存している部分が大なのではないかと思います。どのようなジャンルの作品が多くレビューされているのか? レビューの連鎖はどの程度発生しているのか? このような問に対して我々は明確な答を提示できません。
カクヨムのデータ分析では、romuniさんのエッセー[1]が有名です。ランキングや★数の分布などが明らかにされております。全数調査であるために全体像が捕捉でき、長期にわたる蓄積があるために変化を知ることができます。
これに対し、本稿の分析は標本調査であり、データの精度という意味では上のエッセーに遠く及びませんが、カクヨムを動かす血液としてのレビューに注目して詳細に分析しております。カクヨムの特徴をあぶりだすことを目指します。
分析するにあたっては、以下の二つの視点を重視します。データの制約もありいずれも不充分ですが、最初の一歩になればと考えます。
・レビューによる発掘効果
カクヨムにおけるレビューの主目的は当該作品を知らいない人にその良さを伝え広めることにあるように思われます。つまり、ランキングや新着など他のチャンネルでの到達が困難な作品であればあるほど、その意義は大きいと言えましょう。マクロ的に見ても、ある程度の攪乱が発生することでサイトの活性化が期待できるでしょう。このような評価軸で見た時に、レビューがどの程度機能しているのかを分析します。
・書き手と読み手の一体化
カクヨムはそのサイトの名称からしても、あるいはSNS的な諸機能の存在からしても、コンテンツの生産者と消費者に明確な境界がないようなコミュニティの在り方を志向しているように思われます。カクヨムにおけるレビューは、基本的には読み手としての活動でありますが、広くサイト全体に作品を宣伝するものであり、それ自体が作品としての性質を帯びています。つまり読み手が一種の書き手として振舞う場であり、まさに上の理念を体現する機能であるように思われます。また、一体化によりレビューが別のレビューや被レビューにつながるような豊かな相互作用も期待されます。このような観点から、レビューの書き手に着目することで、生産者/消費者の壁の破壊がどの程度達成されているのかを分析します。
[1]『カクヨムのアプリを作ってはいけないそうです』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880616271
(2017年6月7日閲覧)
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