新撰組の誇りも、会津の誇りも、決して失われはしない。

会津藩とともに、新政府軍を迎え撃つ新撰組。
土方歳三と斉藤一は劣勢の中、いかにして、何のために戦うのか。

生まれつき青い環の力を持つ者と。
後天的に赤い環の力を得る者、というファンタジー設定のある歴史物。
環を断てるのは、環を持つ者だけ。
環の力、それだけで歴史的趨勢を変えられるわけではない。
それでも、敵を倒すために、大切な者を守るために。
呑みこまれて妖堕ちする危険を冒してでも、環を欲する者は多い。

【京都・江戸編】の視点人物は、二人とも環を持つ者でした。
だから。
持っていないものでは、介錯してやることすらできない。
という事実を、本作でひしひしと感じた……。

『八重の桜』は見ていませんし、会津戦争については、白虎隊が自刃したことしか知りません。
どうしようもなく負け続ける会津藩と新撰組。
土方は新撰組を率いて戦い続けるため、箱館へ向かうことを選び。
袂を分かった斉藤は、会津に残って戦い続ける。
降伏したあとの会津にも、戦で死ぬのとはまた別の戦いがあった。
(視点人物は土方と斉藤ですが、容保公も、陰の主役だったような気がします)

武家の血が一滴も流れていなくても、武家の魂を宿すことはできる。
会津で生まれ育っていなくても、会津の誇りを持って生きることはできる。

終章、墓にかけた最後の台詞。
どちらも、自分の思いにまっすぐに、譲れないものがあっただけ。
読みながら泣きそうになりました。


(斉藤視点なので、斎藤が時尾さんベタ惚れなのは丸分かりなのですが。
横槍入れようとする女性登場で、時尾さん視点だと妬いたろうなぁ……。
あと、土方視点部分が、めちゃくちゃ色気があります。
女性に対する余裕が、斎藤と全然違う。さすが色男)

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