「オーロラを見たよ」と言って死神はキーホルダーを二つもくれた 汐留ライス
一首部門参加。短歌って何なんでしょうね。
目次
完結済 全53話
更新
- 「オーロラを見たよ」と言って死神はキーホルダーを二つもくれた
- 台風の目の中央にいる君は他人事のように歌舞伎を見てる
- 飛行機が離陸の前に燃え尽きる人工イクラは何の卵だ
- 手のひらに乗せた卵を温めてバーサーカーは蝶になります
- 水晶のドクロ畑に埋めてみる特に理由のないおまじない
- 寝たままで寿司を食べたい欲望がロプロプ鳥を生んだのでしょう
- 聞こえない悲鳴の入ったCDに油性の黒で「ごめんね」と書く
- 偽ドルの束をこたつに積み上げて居眠りをしていたガンマンの死
- サーカスは今日でおしまい明日からまた針金を噛むだけの日々
- トンネルの中でも傘を差す君に傍聴席から届けハレルヤ
- あやまちを繰り返すのが人なのさ猫はハサミの代わりにならない
- 迷い子はエレベーターに残されて更地になった都市を夢見る
- ネクタイを外した猿は神殿で謎の機械を壊して逃げる
- 粉状のものだけ食べて生きてたいカーネーションをバーナーで焼く
- カピバラを船に乗せてはいけませんきっと何かを思い出すから
- 始まって五分後に死ぬ端役たちいつか魚になれるといいね
- 鳥籠にレモンを入れて空に放つ天文台にまだ朝は来る
- 美しいものが見たくてキクラゲをショーウィンドウに投げた十月
- サンタクロースの正体を知る君に麻酔銃をあげよう
- バスタブに車輪を付けて出掛ければクアラルンプールは溶けていく
- ウレタンで出来た風車が回らない断頭台の下でキスして
- 絶望をしても電話は鳴り続き要らない宝の在り処を告げる
- 停電のプラネタリウムで逢いましょうグーテンベルクが凍える夜に
- オムニバス映画のように飛び飛びの記憶/バナナはおやつではない
- 始発駅バタースカッチ噛みながら罪と罰のバランスが合わない
- 恋人を待てばパスタが石になる螺旋階段の一番下で
- ゆるやかに噛み合いながら離れてく二つの歯車に例えられても
- 7回の表の攻撃の前にここから連れ出してよタランチュラ
- この地球の脆弱性を突くように配置されてるあなたとその他
- 地下鉄の駅に魚が涌く夜は踊りましょうピストルを咥えて
- 流星を硬い木の棒で打ち返す時給200円って安くない?
- アラスカの鳥は一瞬の幻夜が明ければ砂に戻るの
- ダンジョンをさまよう人になりたくてホームセンターで耳かきを買う
- 州知事を桜の下に埋めてから僕たちにだけ見えるテキサス
- マイナスにマイナスを掛けてより大きいマイナスにするような初恋
- 傾きを直す目的で作られた機械を海に沈めたの、私
- キューカンバーって言いたいだけなら黙ってて夕日がふたつ沈む広場で
- 雷の落ちる軌道を示すように二匹の猿の流す涙は
- 玄関にミネストローネぶち撒けて悪魔祓いの声が遠のく
- 大砲を撃てど祭りは始まらず生贄の子は空を見詰める
- 夕暮れのサナトリウムに火をつけて電話がつながらないふりをする
- 明日なんてぜんぶ捏造なんだからぼくら逃げるよヒュードロクーペで
- 海底に沈むラジオの花言葉『行けても行く気ありませんから』
- 木星に近づきすぎたあの日から宇宙飛行士の目は血の色
- 8月のタワーマンションの屋上で記念切手をばら撒けば雨
- 跳び箱を跳ぶ時に踏む板の名はロイター板だよお金返して
- 僕たちは今日もチャーリーズチルドレン世界がダムに沈む夜まで
- 医療用テープで壁に貼り付けた鳥の標本の名前はさそり
- パレットに黄色の絵の具だけ出して虚空に描くサグラダ・ファミリア
- 銀紙で猫を包んで衛星の軌道乗せれば埼玉に夏
- AIが占った君の来世は靴下を干すためのハンガー
- 自壊したからくり人形が奏でる生ける王女のためのパヴァーヌ
- もう二度と会うことのない君だから宝の地図を半分あげる
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