咲き誇る花たちへ

科学によって崩壊した世界。
海底都市へと夢を見、移住した富裕層。
捨てられた地上世界にて佇むは、歯車回る美しき灯篭屋敷。
中に住まうは、高い技術力を有するという謎多き男と、白い羽を持つ神秘的な『天使』と『マリーちゃん』と呼ばれる者達。

―――と、SFとファンタジーと和風のおいしいとこをぎゅっと凝縮して、香辛料で纏めたような世界観。それが見事に調和して一つの作品という料理(しかも美味)になっているのが素晴らしい。

世界観の匂いに釣られて蓋を開ければ、主人公である棕櫚はどこか皮肉で厭世的でありながらも、白米を愛し、天使である蛍火を大切に思うという非常に可愛らしい人物だし、それ以上に愛らしいのが白いもふもふ羽がトレードマークのケイちゃん(蛍火)。読みながら「触ってみたい……」と何度真顔で漏らしたことか……………。

個性的な彼ら、彼女らにのせられて、ふと気が付けば世界観に首まで浸かっている―――そんな作品だと思います。

迷っている方はとりあえず、タイトルの意味を理解できる話まで読み進めることを強くお勧めします。

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