千猫怪談(千猫菜)様の
『腐乱屋敷の革細工』
を読ませていただいた。
上質なスリラーホラーだった。
このお作品を読ませていただいたとき、1つの作品を思い出した。
『羊たちの沈黙』
アメリカの小説家トマス・ハリスによる小説。後に映画化された。
凶悪な猟奇殺人鬼ハンニバル・レクター博士を主要人物に据えて、FBIの訓練生クラリス・スターリングが、バッファロー・ビルと呼ばれる猟奇殺人鬼と対決する活躍を描いている。
羊たちの沈黙はいかにも、ハリウッド。とにかくお金をかけた、商業的な演出がされた作品。
対して、『腐乱屋敷の革細工』
これがスゴく良い。
いい意味で、日本の良さが出ている。
横溝 正史の金田一耕助シリーズ。
田舎の因習や血縁の因縁を軸としたお話。
リングや、呪怨などの陰湿な怨念による恐怖。
日本ならでは特徴を活かした独特の雰囲気。それが、千猫怪談(千猫菜)様のお作品には感じられる。
夢の中の住人はいつもと変わらぬ様子で朝食を迎える。ぬるく湿ったパンと黒ずんだ果物と焼きすぎた目玉焼き。
冒頭のこの描写にヤラれた。
グッとつかまれたのである。
日本ならではの雰囲気がただようスリラーホラー、お見逃しなく。
怪談師と雑誌編集者が廃墟となった屋敷を訪れる。実はその屋敷には、何とも不気味な噂があり――。
導入のシチュエーションだけで、ホラー好きには堪らない本作。
廃屋の中で見つけた不気味な手帳と、凄惨な心中事件。そしてその真実とは……?
テンポの良い筆致は、しっかりと不気味さを演出しながらもキレ良く纏められて読みやすい。また、廃屋の探索をしつつ話の真相に迫っていく様が丁寧に綴られており、まるで自分もこの廃屋にいて謎解きをしているような没入感を得られるのも良い。
他レビューでも述べられているが、ホラーADVが好きな方には是非読んで見てほしい作品である。
雰囲気が抜群で、ホラー好きの心をがっつりと掴んでくれます。
怪談師の桐谷たちは、とある事件の起こったという話がある家を調べに行く。
そこで見つけた一冊の手帳。中に記されている「犯行の告白」とも取れる記録。
廃屋の探索。謎の手記。
「バイオハザード」や「零」、「サイレントヒル」などのホラーADVを思わせるような道具立てがまずとっても美味しい。そんな中で桐谷たちが過去の事件を掘り下げていく工程は、モキュメンタリー作品にも通ずる不穏な不気味さも漂わせていきます。
果たして、この廃屋ではかつて何があったのか。そもそも事件が起こった根底にあったものは。
ラストの思わぬヴィジョンの提示で、「今度はこの感じを!」と、ホラーファンの心をまた満たしてくれる演出。
怪奇なテイスト、怪奇な楽しさ。ふんだんにホラーの魅力を味わえる一作です。