概要
恋情に狂う人間は愚かだ。馬鹿だ。
恋情に狂う人間は愚かだ。馬鹿だ。
永倉喜美枝は常々そう思っていた。
「恋だとか愛って一体なんなんだろうな? 特定の相手が他の誰にも変えられない特別な存在になるのだとありとあらゆる媒体で聞くし、あの世で結ばれようと一緒に死んだりするが、人間という種の繁栄が目的だとするならば、特定の誰かでなければならないなんてことはないはずだ」
放課後図書室でカウンター当番をしていた喜美枝は一緒に当番をしている恋人で共感性の乏しい遠野久志にそう語りかけた。
図書室で恋愛感情について討論する中学生男女の愛に絶望する話。
永倉喜美枝は常々そう思っていた。
「恋だとか愛って一体なんなんだろうな? 特定の相手が他の誰にも変えられない特別な存在になるのだとありとあらゆる媒体で聞くし、あの世で結ばれようと一緒に死んだりするが、人間という種の繁栄が目的だとするならば、特定の誰かでなければならないなんてことはないはずだ」
放課後図書室でカウンター当番をしていた喜美枝は一緒に当番をしている恋人で共感性の乏しい遠野久志にそう語りかけた。
図書室で恋愛感情について討論する中学生男女の愛に絶望する話。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!愛情というのは性欲に理屈を付けただけ、というのは生物学的に正しい。
理屈ならば、二人の言っていることは限りなく正しいですね。
種を繁栄させるために異性があり、性欲があり、だから交わる。そこに特定の誰かである必要はなく、特定の誰かに対し「愛情」という綺麗事を定義したのは、人間だけですから。
それでも喜美枝さんが一抹の寂寥を覚えるというのは、性欲や本能で片付けてしまう久志くんに対し、やはり愛という感情が欲しいからなのでしょう。誰でもいいと断言する久志くんではなく、喜美枝さんだからこそ抱きたいんだと言って欲しいと。
異様に大人びた中学生です。そういうキャラクターなんだと言われればそれまでですが、恐ろしく哲学的な思考を持っていて、天邪鬼で、斜に構えています。普通…続きを読む