真昼の影
宮本 れい
第1話 雨
雨が降る朝は、妙に寝心地がいい。
雨の音、薄暗い部屋、少し冷たい空気___。
自分の体温で温まった毛布から足を少しだけ左へずらすと、シーツがひんやりしていて気持ちがよい。
ふと時計を見ると、針はちょうど6時を指していた。
「・・・・・・起きるかぁ」
ため息交じりに出た言葉の次には、鼻の穴が膨らむほどの大きなあくびが出た。
トイレをすませて歯を磨き、鏡を見ると、奥二重の目が眠そうにこちらを見ていた。
私がぱっちり二重で、もっと鼻が高かったら、彼は私を可愛い子の部類に入れてくれただろうか。私がもっと明るくて、堂々としていて、男子ともよく話す活発な女の子だったら、彼も私を意識しただろうか。
自分でも笑っちゃうほど、私の頭には彼しかいないのだ。
そんなことを考えてると、母が「遅刻するよ」と顔を出して言った。
私は学校へ行く時は必ず音楽を聴く。それは、イヤホンをし、音量を高くして歩くことで、まるで自分が主人公になったような気分になるからだ。
今日聴く曲をiPodの画面をスクロールさせながら決めて、私は
「行ってきます」
と玄関を出た。
真昼の影 宮本 れい @mgmg0319
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