気持ち悪くて、生ぬるい愛

不器用、と言うには、どうにも歪んでねじれた大人のお話です。
これも愛なんでしょう。

一つの卵を手渡された主人公。
殻に閉ざされた卵は、何が生まれてくるのか想像していまうもの。
とんでもない化け物が生まれるかもしれない――?

読者も話を追ううちに、そんな馬鹿なと思いつつ主人公の行動を見守ってしまいます。
恋愛に登録された短編ですが、社会的にも人間ドラマにも読めてしまう味わいです。
ファンタジーやホラーでもおかしくない。

しかし、荒唐無稽な話ではなく、不思議な余韻を残して終幕します。
分類の難しい奇妙な話が好きな方へ、オススメしたい作品でした。

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