アンドリューがやってきた
田舎のぼくの学校に、転校生がやってきた。
あいつの名前はアンドリュー。肌が白くて金髪で、背も高くてイケメンだ。
みんな、あいつにあこがれた。
勝手にもうそうふくらます。
あいつはきっと頭いい。
あいつはきっと足速い。
あいつはきっと金持ちで、きっとごうていに住んでる、と。
だからみんなはなんとなく、しゃべりかけにくいふんいきで、休み時間の間中、あいつはひとり、すわってた。
だけどその日の給食で、あいつは列に並んでた。きぞくが「社会体けん」だ。
みんなのうわさを信じ込み、あいつの食器にめしよそう、ぼくの指先ふるえてた。
給食係が手を合わせ、「いただきます」と声かける。
「れっちー(let's eat)」とか言うかなと、みんなはあいつの方向いた。
だけどあいつはりゅうちょうな、日本語しゃべってはし持った。
みんなはぽかんと口を開け、ものも言えず、はし持てず。
ぼくは向かいの席だから、思い切って聞いてみた。
「アンドリューくん、お金持ち?」
「いやいや、ふつうのしょみんだよ。」
周りで話を聞いていた、みんなのあごが床につく。
ついで教室全体に、「ええー!」の声がこだました。
それからみんなは次々と、アンドリューに話しかけ、いっしょにドッジボールした。
知らないうちにアンドリュー、「あいつ」と呼べる子になった。
(540字)
ごろっと掌編 馬田ふらい @marghery
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ごろっと掌編の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます