山姥
私がさっき目を覚ますまで、長く恐ろしい夢を見ていた気がする。
私の高校の山岳部では、毎年夏休みすぐに登山キャンプが開かれている。私は部長だけれど、受験を控えた高3生なのでこの行事が終われば引退であった。しかし下山の途中で足が絡まり、ごろごろと長い坂を転がっていき、後頭部に強い衝撃を感じた。頭がだんだん熱くなり、同時に意識は遠のいていった。
さっき目が覚めると、洞穴にいた。おそらく頭を打った後も転がり続け、ここに至ったのだろう。地面に転がる骨が不気味だった。
とりあえず私は洗顔と飲水のために川に向かい、その後登山道に戻るため坂を上った。平らな道に出たところで声をかけられた。
「もしかして、山崎部長ですか!?」
「あなた、比奈川さん?」
そこに居たのは滂沱の涙を流す後輩であった。
私は比奈川と並んで歩く。どうやら私が転落してから一年が経ったらしい。今は彼女が部長だ。登山キャンプの初日のようで、後ろには私の知らない後輩も沢山いた。
「そういえば先輩?」
「どうしたの?」
「この山、
「……それは怖いね」
先生が融通を効かせてくれて、私は比奈川と同じ部屋に泊まれることになった。私たちは闇の中で就寝した。
翌朝、覚めると私は叫んだ。仰天した。目の前には横腹の半分が無くなった比奈川の裸体が倒れていた。
さらに、私の口もとには血と肉片が引っ付いていたのだ。
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