このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(49文字)
剣術の稽古のシーンは商業作品すらも追いつけないほどにリアリティを持っています。 剣術を知らない方からすればわかりにくさにもつながってしまうかもしれませんが、その硬派な描写は物語の中で伏線としてしっかりと生かされ、最後に登場人物達がお互いの義を果たさんと向かう結末へ収束していきます。 とてもおすすめの作品です。
タイトルの「一刀両断」は柳生新陰流の組太刀『三学円の太刀』の初太刀。江戸時代初期の沼田藩が舞台。容姿だけではなく、その剣術の腕を互いに認め、惹かれ合う二人。武士の衆道は血の匂いに満ちている。三つの義が交錯する、重厚な時代劇。美しい若衆の健気な姿が胸に迫ります。