おじいちゃんが死んだ

@itast

第1話 01



飴玉のような人生だった。様々な色が混ざり合い、夢にあふれた私の世界はここまで。後は若い世代が紡いでいくことだろう。私は私に満足している。もう何も望むことは無い。息子には全ての技術を伝授した。今頃元気でやっているだろうか・・・。孫がそばで泣いている。私は少し眠るとするか。




おじいちゃんが目の前で静かに息を引き取った。私が小学生のころに「誰かに見られている気がする。」なんて言ってたけど、少ししたらそんなことはケロッと忘れていたっけ。あのころからもう老化が始まっていたのかな・・・。それからは妙に優しいおじいちゃんだったな。天国でも元気でね。




少し前からお義父様の体調が悪くなり、それまで気にもかけていなかった旦那が毎日のように面倒を見ていたっけ。娘の聖美も傍で泣いている。以前、お義父様と旦那は似ていないなと思っていたけど、体調を崩されてからたまに旦那と似ているなって思うようになったわ。旦那が年を取って似てきたのかしら。




俺はきっちり親父の全てを受け継いだぞ。体調が悪くなったって聞いてから、急いで探し出して看病を代わってやったよ。今は妻と娘がいるが、近いうちに違うところへ移り住もうと思う。最後まで気付かないなんて、親父もまだまだだな・・・。「聖未、親父の為に泣いてくれてありがとな。」



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