5話―――時系列②結末(完)
―――――――――――――
次のニュースです。
昨夜未明、○○県○○市内にある自宅の前で、女性と少年の2人の遺体を隣に住む第一通報者が発見しました。
第一発見者の話によると、この2人は親子と判明し、少年の遺体の胸には刃物のような鋭利なもので刺された傷跡があり、女性の遺体の手首には切り傷あることから、警察は心中を図ったものとして捜査している模様です。
警察の話によりますと、少年には頭を覆うように布製の袋のようなものが被せられており、殺害を悟られるのを防ぐ、又はその恐怖を与えないようにする為に母親が行ったものと見られております。
尚、この一家には5歳の少女がおり、その安否を確認する為に警察が自宅の捜索を行ったところ既に裏庭から外へ出ていて、警察犬も動員して懸命の捜索を行った結果、近くの林の中で無事保護されました。
―――――――――――――
ガチャリ。
受話器を置いて、みゃーを見る。
お母さんから電話で呼ばれて、少しだけ家の外に出なくちゃいけないんだけど、それをみゃーに言うと不安がらせるかもしれない。
かといって、外は真っ暗だからみゃーを連れていくにはしのびない。
多分大丈夫だ。
みゃーがアニメにくぎ付けになっている間に行って帰ってこれるはず。
僕はちょっとくらいだからいいかなとも思ったけど、施錠の為に家のカギを持ってコソコソと玄関から外に出る。
すると家からちょっと歩いたところにお母さんが居たんだ。
「お母さん、急にどうしたの?お仕事が早く終わったの?」
「翔太。美耶子は?美耶子は家の中にいるの?」
「うん、みゃーはアニメに夢中になってるから置いてきたよ」
「よかった、美耶子がついて来ちゃってたら決心が鈍るところだったから……」
「お母さん?どうしたの?泣いてるの?」
「ごめんね、お母さん、翔太と美耶子と一緒に居たかったから、夜勤をずっと断ったりしてたんだけど……それが原因でずっと職場で人間関係がぐちゃぐちゃになっちゃっててね…お母さん、もう疲れちゃったんだ」
「疲れちゃったから、今日は早く帰ってきたんだね?」
「ううん、違うの。お母さん、お母さんのお姉ちゃんに相談したんだよ。最初は断られたけど、それでも何度も何度もお願いしたの。そしたら一人だけならなんとか面倒を見てくれるって言ってくれたのね。お母さんのお姉ちゃんはそう約束してくれたんだ」
「お母さん?僕、良くわからないんだけど……」
「わからなくていいのよ。ねえ、翔太。お母さんのことを信じてくれる?」
「うん。僕はいつだってお母さんのことを信じてるよ」
「良い子ね、翔太。大好きよ」
『じゃあ今からお母さん、翔太が怖くないようにとっておきのおまじないをしてあげるからね』
「ただいま、みゃー」
(完)
結末。 あさかん @asakan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます