ガレオン船と茶色い奴隷

作者 芝原岳彦

74

28人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

半世紀近く前の海外ドラマなら「ルーツ」。海外小説なら「大統領の娘」。相対的に最近の映画なら「アミスタッド」辺りか? アミスタッドは微妙に雰囲気が違うが…。
テーマは奴隷。でも、単なる虐待物ではない。下層階級から這い上がろうとする主人公達の物語。
こう書くと陳腐な立身出世物の雰囲気が漂うが、そうではない。地に足の付いた、「さもありなん」と感じる展開をしていく。
そして、主人公が奴隷擬きの奉公人の立場ながら、誠実さと向上心、矜持を失っていないので、読んでいて疲れない。
また、筆者が場面、場面を丁寧に描写しているので、社会背景や人間の傲慢さがストンと腑に落ちる。寧ろ、そちらの方に読み応えを感じるのではなかろうか。
主人公の出身地であるワクワクは架空の地であるが、物語のメイン舞台は中世の地中海世界(not北アフリカ)、欧州人がインド洋を目指して勢力拡大を図った大航海時代をモデルとしており、読者がイメージアップし易い舞台設定となっている。
この奥行の深い世界観を、あなたも楽しんでみては? 高い確率で後悔しない、と思う。

★★★ Excellent!!!

細かい情景描写のおかげで、脳内で容易に映像化可能な作品です。
キャラクターの感情は極めて自然に発露され、文章には余計な飾りも癖もないのでスラスラ読めます。
話の中で一番惹きつけられるのは、人間社会の汚点を包み隠さず書いているのに、決して暗い話になっていない点です。

★★★ Excellent!!!

大航海時代を舞台に、市場や貿易、そこで活躍する商売人、彼らの日常生活を、これまであまり語られてこなかった奴隷という立場の視点から描いた歴史改変小説です。

奴隷が直面していた過酷な現実を真っ向から描きつつ、蔑まれる者への熱い思いが根底に込められた作品。

緻密な情景描写も物語の流れを損なうことなく、むしろ世界観を盛りあげています。一話は短く、高い筆力で描かれ、読み進む手が止まらない。

出会いや別れを通じて成長していく主人公。この先の冒険で何が待ち受けているのか、続きがとても楽しみな作品です。

★★★ Excellent!!!

この作品は「奴隷の実態」や「差別」を題材にした作品だよー。奴隷という非常に扱いにくい題材を上手く描いている。情景描写がしっかりしているけれど読みにくさはあまり感じない。話数の多さに一瞬、目次を見て圧倒されると思う。けれどいざ読み始めるとページを進める手が止まらない。
一話の文字数が少なめで、でもだからと言って描写に手を抜くことはせず。キャッチコピーにあるようにこの本は「本格派」。でも、本格派小説をとしての文章力を維持しつつ、読みやすさにも気を配った作品でもあるの。
何より私は声を大にしていいたい。よく奴隷の実態をここで書いてくれた、と。今、世界は差別に対して良くない流れにある。そんな今だからこそ、このような本格派の、奴隷を題材にした小説を読んでほしい。そう思わずにはいられない

★★★ Excellent!!!

「差別」というものについて静かに、熱く描いた作品だと思います。
何よりも物語全編に真摯な空気感というか雰囲気が貫かれており、作者の誠実さが伝わって来ます。
わたし自身は「いじめ」という差別撤廃を人生のテーマとしているのですが、本作の作者の表現が非常に参考になりました。
素晴らしい作品を書いていただいてありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

奴隷、というなかなかに扱いにくい題材に真っ正面から取り組んだ歴史ものの意欲作にして力作。
それも、「アルスラーン王は奴隷解放してエライ!」というタイプではなく、奴隷視点で奴隷の実態を生々しく描いています。
それでいて、生々しすぎて読者が不快を覚えるようなこともなく、ちゃんとバランスを保っているのも上手い。
そして驚くべきは読みやすさ。
本作品のように描写に厚みのある作品というのは、えてして読みやすさとトレードオフになってしまうケースも多いのですが、本作品は実際に読んでみれば分かる通り、さくさくページを進めることができます。
話数は多い。でもそれは、うわーなげー、とうんざりする要素ではなく、それだけたくさんこの物語を楽しめる数だということです。

★★★ Excellent!!!

 情景描写の素晴らしさ、作品の面白さは他の方のレビューで語られています。
 だから私は話数の多さを見て引き返す方に、まずは数話読んでみてほしいと伝えたい。

 各話は短く、それでいて濃密にまとめられています。
 一気に読み進めるもよし。
 間を置きながら数話ずつ読むもよし。 
 きっと貴方のペースで読み進められるとでしょう。

★★★ Excellent!!!

いやもう的確な語彙力に脱帽ですね!
情景描写も素晴らしく、私には馴染みない世界観だったのですが一話目で惚れました!
引き込まれました。
長い作品ですが一日適度な話数ずつ飽きずに読み進められました。
細かな描写あってこその生き生きしたキャラや世界です。
ウェブ小説って描写は少ないらしいですが、この作品はあってこそ光る!
一つの魅力!個性ですね!
読破して得しかなかったです!!
皆さまも是非この作品の読者の一人になってみて下さい……!(^∇^)

★★★ Excellent!!!

Web小説に情景描写はいらないーー

作者さんもあとがきでそんなことを言っているように、とかくWeb小説では情景描写は読み飛ばされることが多く、力を入れるべきところではないのかもしれない。

だけど今作ぐらいしっかりと情景描写が描かれていると、話は違ってくると思い知らされた。

とにかく頭の中に思い描く小説世界の密度が全然違うのだ。
文字を目で追いながら心はその世界に引き込まれ、匂いや街の喧騒、海からの潮風すらも感じるほどの錯覚を覚える。
圧倒的な情景描写が生み出すリアル感ーーWeb小説を楽しむようになって長らく忘れていた読書の醍醐味のひとつを思い出したような気がした。

続編は必ず読む。この読書体験をまた味わいたいから。