いつかのダブルヘッダー

 ㅤアダムの1点リードで迎えた九回裏ツーアウト。ピッチャーはアダム。バッターはイヌ。


「ここで一発だにゃ!」


「来い!ㅤです、イヌくん」


 ㅤピュッ。シュルシュルシュル。カキーン。バシッ。


「いつもこれだにゃ!」


「ワタクシの勝ちですね」


「まだにゃ! ㅤまだ終わってないにゃ」


「どういうことですか。野球は九回までですよ」


「そんなのは人間が決めたルールだにゃ!」


「なんと」


「ロボットのルールでは、何度でもやり直しがきくにゃ!」


「な、なんと」


「よし、来いにゃ!」


「いきますよ」


 ㅤピュッ。シュルシュルシュル。カキーン。バシッ。


「なんでにゃ。どうしてにゃ」


「こうなるプログラムでもあるのでしょうか」


「ならば、アップデートを待つにゃ」


「そんな予定はあるのでしょうか……」


「知らないにゃ! ㅤそれまで勝負はおあずけだにゃ」


「そ、そんなあ」


「もう一試合やろうにゃ」


「え? ㅤはい、そうですね」


「今度はこっちが先攻だにゃ」


 ㅤピュッ。シュルシュルシュル。カキーン。バシッ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

ねこがたり Ver.2.0(ねこがたり1作目) 浅倉 茉白 @asakura_mashiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ