「あとがき」
「あー……やっぱ、めっちゃおもろいなー……」
この作品「ユーキ一人をトモとして」を掲載するにあたり、改めて読み返し校正、推敲を行いました。これはその時感じた率直な気持ちです。
響さんは自分の作品が大好きです。
それは有名作家の大ヒット作品よりも……です。
そしてその気持ちを今回、改めて再確認する事が出来ました。
作品自体はおよそ1年前に書いた物です。
……あれ? 2年前じゃなかったっけ?
改めて調べてみると、この作品が完成したのは1年前でした。響さん自身が2年と錯覚してしまう程、何やら濃密した時間を過ごしていたようです。
兎に角この作品は2016年4月に某新人賞へと最初の投稿を終えています。その後何回か他社の新人賞に応募し、鳴かず飛ばずであった事と、その後に書き上げた新作の完成を以てお役御免となった訳です。
この作品は三人称視点で描かれています。
三人称視点と言うのは技法の一つであり、表現方法の一手段です。他の技法、例えば一人称や二人称と比べて優劣などは存在しません。
ですが間違いなく作風に対しての向き不向きはあります。
この作品「ユーキ一人をトモとして」(旧題:ユウキ一人を供として)は、恐らく三人称で展開するよりも一人称で、つまり主人公のエリス視点で話を進めた方がより面白い作品になったな……と、読み返した響さん等は思いました。
それに受け入れられ易く人気のある作風には流行り廃りが確かに存在します。そして現在の風潮としてはやはり一人称の受けが良いと感じられました。
ただ10万文字を超える作品を、一から読み直して三人称から一人称へと構成するとなると途方もない作業となります。その後にこの作品をどこかの新人賞へ送るならばまだしも、そんな予定もないのです。ならばこのまま、三人称のまま発表しようと考えた次第でした。
ただ1年前のまま出すにしても推敲位は行わないと……。そう思って読み直した次第でしたが、余りにもひどい文章構成だったので、若干の推敲と校正を行いました。
それに伴ってユウキ→聖霊、セキセイ→ユーキと言った名称変更を行いました。本来は精霊の事をユウキと銘打っていたのですが、ある評価シートに「分かりにくい」と指摘を受けていたので変更に至った次第です。
まーもっとも、読んでくれている方々が作品を好んでくれていれば、そんなややこしさと言うのは感じなくなるものなんですけどねー……。ややこしい言い回しや設定の作品など、この世の中に腐る程あるものです。それでもそれらが批判されず、新人賞へと応募した駆け出し作家は指摘される。それは偏に実力を認められた者とそうでない者の違いに他ならない訳ですが。
兎も角その作業を行っている最中に最初に戻る……。
「あー……やっぱ。めっちゃおもろいなー……」
となる訳です。
でもそれは、決して自己満足に浸りきっているとか、自己陶酔が過ぎるとか、自画自賛が強いと言う訳ではありません。これは作家様皆様に当て嵌まる、至極「当たり前」の事なのです。
何故なら、作品の生みの親である作家は、その世界を完全に把握しているからです。
作品を生み出した作家は、それこそその作品の設定全てを有しています。世界の風景から情景、主人公に吹き付ける風から照り付ける太陽の強さ、会話シーンにおける緊迫度合いからその掛け合いや「間」、戦いにおける緊迫感から心情、むせ返る血の匂いやら汗の温さまで……言い出したらキリがありませんが、作品を作り上げる段階でそれらの逐一を網羅しているのです。
そんな作者が自分の作品を読めば、それは誰よりも深く理解する事が出来、そしてどんな作品よりも出来栄えが良く映るものなのです。
ですが悲しいかな、その全てを文章に表現して、読んでくれている方々全てに伝える事は出来ません。
何故なら、作家はどうやっても自身の中で出来上がった世界を表現しきれないからです。
色んな制限があります。文字数の制限、表現の制限、説明臭くならない様に注意したり、肝心な説明が簡略化されたり。
果たして、その作品の表現は、作者の中の何パーセント出来たのかと言う処でしょう。
そして作品の出来栄え、面白さ、人気は、その表現の取捨選択によって大きく異なるのです。
表現を取捨選択……と言うのもおかしな話に聞こえるかもしれません。しかしそれは確かに存在します。そうしなければ、恐らく文章と言うのは無限に連なって行ってしまうからです。
そうして紆余曲折、悩み抜いたその結果は、作品を発表してみなければ分かる筈もなく、結果として鳴かず飛ばずになったりするわけです。
ですが誰に評価されなくても、響さんは自分の作品が大好きです。それは最新作や最も評価の高かった作品に留まらず、過去に書いた作品すべてに及びます。
今回の作業は、その事を強く思い起こさせてもらいました。ある意味とても嬉しい作業となったのです。
こういった「過去作品」を発表する場が出来ている事に有難い思いでいっぱいです。そしてこの作品を読んで下さった方々には感謝の言葉しかありません。
さて、響さんがこの作品を「新作」では無く「過去作品」と口酸っぱく言うのには理由があります。それはなにも、
「こ……これは過去の作品であって、今現在の響さんの実力じゃないんだからねっ!」
と言う予防線を張る為のものではありません。
実際完成したのは1年も前なのです。今更「新作」なんて口が裂けても言えません。
それに「過去作品」である事を明言する事で、現在の響さんと比較して欲しい、と言う気持ちもあります。
自分は成長しているのか?
筆力は向上しているのだろうか?
そんな事は中々自分で知る術はありません。ただ信じて書き続けるだけです。
ですが一番気付いてくれるのは間違いなく読んで下さっている読者様方……。特にコメントなどは必要ありませんが、もし何か気付いて貰えたならばそれに勝る喜びは無いのです。
「成長しているよ」
「あまり変わってないじゃんwww」
何かしら感じて頂ければ幸いです。
さて、この作品は響さんが描き始めて3作目です。
0作目は兎に角自分の可能性を測る為に10万文字を書き連ねましたが、今見てもちょっと赤面してしまう程なので公表出来よう筈もありませんwww
1作目は「千年皇国の
2作目は……タイトル秘密。内容も秘密。まだまだ手を加えて再度応募して見ようと思っているので、当分公表する事は無いと思います。ですがこの作品、実は応募した第一章に続いて、第二章、第三章のプロットからあらすじまで完成していたりします。そしてこの作品は一先ず三章構成となっているのです。もし公表する機会があれば、一気に第三章まで書き上げたいなーとか考えたりしている作品でもあります。
そして3作目のこの作品「ユーキ一人をトモとして」となる訳ですが……。
この作品は構想が僅か数日と言う、正しく駆け足で考え出した作品でした。その理由は2作目を完成させて応募した時点で、1ヶ月後にある別の新人賞に応募しようと取り組んだからです。設定に時間をかけていては到底間に合いません。
プロットを早足で仕上げ、あらすじを書き上げて1ヶ月で仕上げました。
今思えば、奇跡に近い集中力と執筆力だったと思います。勿論出来上がりは二の次となってしまったのですがwww
兎に角、一気に書き上げて応募まで至った割には文字数も中々のものでびっくりした記憶があります。
掲載した作品にある「プロローグ」は、当初書き上げてはいたものの応募時には除外していた部分です。でも考えてみれば、この「プロローグ」に世界観を詰め込んでいたので、この「プロローグ」を省いてしまったら途端に世界観が分からなくなってしまうんですねーwww 迂闊でしたwww
ですので改めて読み直し、聖霊の下りや魔属との関係、ゲートの存在などが完全に抜け落ちている事に愕然としました。情けない。
今でもそうなのですが、出来上がるのは新人賞締め切りギリギリが殆どなので、読み直して校正する事が出来ていません。でも今回読み直すにあたって、改めて「推敲と校正」の大切さを痛感したりしなかったりwww
さて、そんな「過去作品」である本作を発表しようと思ったのは、偏に響さんが自作品好き好きーな訳でもありますが、ちゃんと書いていると言うアピールもしておこうと思った訳です。
普段新作を立ち上げない、連載作品の続編も滞っている、他者の作品もあまり読まないと無礼の限りを尽くしている響さんです。その理由が、
「そんな時間を作れない。新人賞締め切りに追われている」
が殆どです。
ですが新人賞応募用作品を掲載する事はありません。つまりそう言っているだけで本当は何しているのか分かったものでは無いのです。
ですがちゃんと本当に書いてますよー……と。ちゃんと証明する為にこの機会を利用してアピールしようと考えた側面もあるのです。
ただ響さんが手掛けている作品、その殆どには「その後」や「続編」が存在します。勿論まだ構想段階ですが。
なのでこの「ユーキ一人をトモとして」がそこそこ人気のある作品となったならば、その続編を書く事も否やは無いんです。
まーどれくらい評価されるのかは分かりませんが……。
はてさて、この作品を書くに至ったきっかけはズバリ、
―――能力の継承とその方法
です。
人は死にます。それは現実でも物語の中でも違いはありません。
ですが物語やゲームの世界では「復活」が安易に行われたりします。響さんはそれには懐疑的であり否定的であったりします。
極端な話をすれば、RPGゲームにおいても「死んだら即ゲームオーバー」を取り入れて欲しいと思ったりします。
「ええっ!? 何それっ!? クッソおもろないやんっ!www」
なんて聞こえてきそうですが、でも少し考えて下さい。
「まーやられてもやり直せば良いやー」
と考えてダンジョンやボスの攻略に向かうのと、
「せ……せっかくここまで来たのに、やられるなんて嫌やーっ!」
なんて考えながらビクビクドキドキしながら冒険を進めるのと……。一体どちらがワクワクしますか? 響さんは圧倒的に後者です。勿論、途中であきらめてしまうと言う選択肢も出現してしまう訳ですがwww
人は死んだらそれまで。どれほど強くとも、例え勇者であっても息絶えれば全てそれまでなのです。
その者が持っている力、能力等はその人限りの物であり、安易に他者へと譲渡されるべきではありません。また、アッサリと強大な力を得ると言う設定も首を傾げる事に他ならないのです。
そんな事が横行していては、人は努力をしなくなります。
「いずれ現れる強い力を持った人に全て任せてしまおう」
「どうせ何度でも復活できるんだから、俺が努力する必要もないだろう」
そう考える者が居てもおかしくないと思いました。そして本当にそんな事がまかり通り世界ならば、きっとそう言う考えが普通になるんだろうと思いました。
でも一からとなると膨大な時間が掛かります。
たった一つの切っ掛けで、驚く程強くなる術などありません。人間は長い年月をかけて努力して力を得る生き物なのです。
―――では、短時間で力を手に入れるにはどうすれば良いのか?
こう考えた時に、経験を持った存在が新たな人間に乗り移る、と言う流れを思いついたのです。
えっ!? もうすでにそんなアイデアは存在している!?
もしそうならそれは知りませんでした。と言う事はこの作品はオマージュと言う事になるんでしょうねwww
それでも間違いなく響さんは自力で考え出し、拙いながらも「能力の継承」について取り組んだ作品だったのです。
まー他にももっとスムーズな設定なんかはあるかもですが、当時はこれで精一杯だったのですね。
それから、生き返り死に戻りを否定する訳ではありません。勿論チート能力なり特別な存在も響さんは大好きです。
ただ疑問に思った事を掘り下げた1作品。そう考えて貰えれば幸いです。
さて、多分これでこの作品に関わる思いの丈は言い切ったと思います。
まだひょっこりと出て来るかも知れませんが、とりあえずこの話はこれで終了とさせていただきます。
そして最後に。
ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございました!
今後も頑張りますので、末永く生暖かい目で見守ってやってくださいねーwww
それでは。
了
ユウキ一人をトモとして 綾部 響 @Kyousan
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