マナー講師というお仕事を通したこの作品。マナーは形を重要視されがちな印象ですが、大事なのは形よりも心のあり方。そしてそれはマナーだけではなく友人関係やトラブルにも大きな支えになる。それを本作では伝えてきています。
その印象を持ったのは、ほぼ毎話に心の動きの描写があったからだと思います。喜び、愛情、不安、信頼、葛藤……様々な感情が現れ、考えさせられるというか読み終わる度にどこか心に残るんですよ。
様々な感情と聞いて堅苦しさを抱くかもしれませんが、そんなことは一切ないです。軽快な会話と文章で綴られており、むしろ読み易いはずです。
芯のある心とはなんなのか、前を向いて歩く、上を向いて歩くという本質はなんなのか……この作品を読めばきっとあなたの心にも挫けない心が宿るはずです。
世の中、さまざまな題材でミステリーやお仕事小説が書けるのだなと、勉強させられる作品です。
今回の主人公はマナー講師!
小説の題材としては、はじめてお目にかかります。やはり珍しいのではないでしょうか? Web小説では特に貴重かと……☆
あまり礼儀作法に深く関わって来なかった私には、目から鱗の思いです♪
お仕事に関する話題もとても面白いのですが、一人の女性が強くたくましく生きようとする姿、またシェアハウスの個性的な住人たちとの絶妙な関わりなど、随所に見どころがあります。
やわらかく丁寧な筆致は、読み手に安心感を与えるのも、特長かと思います!
(アラン『幸福論』)
礼儀作法とは、身についた物腰であり、ゆとりである。無作法な人間とは、まるで皿や置物をひっかけでもするみたいに、自分のしたいと思っていることとは別のことをしてしまう人のことである。
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マナー教室を開くのが夢という若き女性が、礼儀作法のアレコレを駆使して日常生活の謎を解明する……という一風変わったミステリー。
昨今の日常の謎・お仕事ミステリーブームは読書家ならば誰もが知るところですが、どの作家も特徴を出すために、さまざまな「珍しい職業」を題材にしています。
その職業にちなんだ、そのお仕事ならではの独創性あふれる謎を提示することで、読者は勉強にもなるし、新鮮な謎解きにも関心を持てるわけですね。
マナー教室によるしつけ作法を謎解きにからめる、というのは斬新だと思いました。
プロ作品ではほとんど見かけません。この職業に焦点を当てたのは新発見です。
ちょっとした挨拶の会釈にも作法があるのはもちろん、ワインの飲み方にまで話を広げて犯人を暴く……というショートエピソードには感心しました。
日常の謎だから大々的な殺陣などは起きませんが、読むとためになるし、今まで気にしていなかった日常のささやかな閃き・気付きにもなりました。オススメです。
最新二二話まで拝読させて頂いてのレビューです。
尊敬する亡き母に多大な影響を受けながら、駆け出しマナー講師という日常の中で様々な人や出来事とふれあい成長する。そんな等身大のヒロイン果耶さんが奮闘するお仕事小説です。業務にまつわる日常の謎や恋愛模様が、読み易い文体で丁寧で綴られています。
マナー全般はもとより食にまつわる事柄や偉人の言葉や逸話など、作者様の幅広い知識から織り成される薀蓄はどれも嫌味がなく為になります。講師ものというテーマにそぐわぬ知識欲が充分に満たされるのも魅力のひとつです。
彼女の危険で熱い恋の行方も気になるところ。そこも含めて連載を楽しみに追い掛けさせて頂きます。
14話まで拝読させて頂いてのレビューです。
主人公は、駆け出しマナー講師果耶さん。
物語を読みだした時から、果耶さんに共感することが多く、すぐに物語の世界に入り込むことが出来ました。
読み進めて感じるのは、清楚で洗練された文章の中に、秘められたユーモアと可愛らしさです。
ユーモアの中に果耶さんの人柄が滲んでいて、彼女のちょっとした一言や想いに触れるたびに、温かい心地よさに包まれ笑みが浮かびます。
また物語を読み進めていく中で、学べるマナーや逸話に触れ視野が広がっていく思いです。
そして、私がワクワクするのは日常の中に隠れている謎やミステリー。
日々何気なく過ごしている中にも、『あれ?』って思う謎があって、それを見つけた時のドキドキ感や、解決した時のスッキリ感。
果耶さんの謎解きを追いかけながら、日々の忙しさの中忘れがちな好奇心や、見つけてもらえるのを待っているかもしれない謎探しをしてみませんか?