2.補足

 今回は、読者と共通点がある共感するキャラクターとは逆のキャラクターの話を書きます。


 逆というと、魅力のないキャラのことでしょうか?


 いいえ、違います。これも魅力あるキャラクターの話です。


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 ひとはいつも理性や常識、モラルに縛られて生きています。


 たまに自由奔放に生きている人を見ることがあります。


 ある人はうらやましがり、ある人は毛嫌いするでしょう。


 でも、本当に嫌いであれば、ひとは無関心になるのです。


 嫌いなのに、気になってしかたない。そんな人はいませんか?


 もしかすると、あなたはその人に憧れているのかも知れないです。


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 物語のキャラクターも同じです。


 絶対に現実の自分ではできないことをしてのけるキャラクターがいるとします。


 正統な正義のキャラクターでも、常識的な素敵なキャラクターでもありません。


 人を殺したり、悪事に手を染めたり、泥棒をしたりするキャラクターです。


 そういうキャラクターを<悪役>と言います。もしくは<ダークヒーロー>と。


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 <悪役>だけど、憧れるキャラクターの代表は、


 ルパンかも知れません。アニメのルパンじゃないですよ。アルセーヌ・ルパンです。


 怪盗二十面相もかも。


 悪事に美学があり、自分の美学に反したことはけっしてしない。


 その徹底ぶりは、ある意味<モラル>でもあるのです。生き方かも知れません。


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 <ダークヒーロー>で有名なのは、エルリック・サーガのエルリック皇子ですね。


 自分の価値観で行動し、暗く混沌とした力に魅せられてしまった呪われた皇子です。


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 ひとには、他人に知られたくない欲望があるものです。


 そういった欲望を満たしてくれる、アンモラルなキャラクターが、抗いがたい欲望に引きずり込まれていく様や、あるいは自分だけの美学を徹底して守り抜く生き方を読んだとき、読者は何とも言えず、どきどきとするのです。


 それが、自分がもしも……と思ってしまう、けっして現実では不可能な欲望を満たしてくれるとき、読者は全身全霊でこのアンモラルなキャラクターに傾倒していくのではないでしょうか。


 このようなアンモラルなキャラクターは少なくありません。


 正義や善を代表するキャラクターに対抗するように、惹かれずにはおられないようなアンモラルな悪を描いたとき、読者は、さらに物語に傾倒して、没頭することができるでしょう。


 そこには、読者が持つ一切の常識は存在しないはずです。


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 悪役を正義役と同じ方法で造形することもあります。


 悪役にも事情があって、やむを得ず悪に荷担せざるを得なかった、というパターンです。


 これも、読者の胸をどきどきさせてしまうシチュエーションや設定を作り上げることが出来ます。


 キャラクターを作る際に、この講座のキャラクターの章を参考に作成してみてはいかがでしょうか?


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 つぎは、心許ないですが、ジャンルによって使い分ける文体について書こうと思います。



 ※ ここで2016年時点、講座は書き終えちゃってます。この次の補足はいつになるかわかりません(汗

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イマイチ分からない人のための小説講座 藍上央理 @aiueourioxo

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