F・トルーヴァ幻界記

世道 小道

第1話  幻界記の始まり[壱]

どうも、ご挨拶伺います。ラー・アルフという者です。


種族は人間です。


突然ですが、平和ですね。この国は特に科学の発展が凄まじいです。


その割に、環境汚染などは全く進んでいません。


体を透き通すような風が日常なのです。これも科学なのでしょうか?


つい数百年前は、他国に戦争を仕掛けにいったり、


"進むカラクリに消ゆく神の恵み"、なんて歌ってもしておりました。


何せ、今の科学が存在するのも、あの時代があったからという、人も


いるくらいですから、相当な波乱の旋風が起こったのでしょう。


実は最近、私もあの時代に興味を持ち始めたのです。


何故なんて軽い気持ちに過ぎないですが、国の図書館を漁る暇があった時に

 

歴史書を読んでおりました。


本の題は"幻界記"。


"古に生きた者共は、科学など無知の境地に過ぎなかった。だが、その代償に能力者が

多々存在した。決して優れてはなかったが、神秘主義者は拝めずにはいられないだろう。到底科学では証明出来ない存在が、能力者達には確実に証明可能であった。"


"エルサルは発展の神としても有名だが、優れた能力者であり、実際に古に生きた英雄であった。"


ノンフィクションの割には、あまりにも現実味が無さ過ぎて、面白い位でした。


ですが、この本に書いてあることの七割は、他の歴史書を根本的に覆してましたから、ある意味興味を持たずにはいられなかったのです。


そう感想を考えていた時です。 


なんと、本の最後に電話番号が記載されているではないですか。

(実際、私自身この時ばかりは感情が高まってうずうずしておりました)


その名前は"シルディス・トルーヴァ"


「訪ねてみようか」


軽い気持ちの波が、さり気なく心をつついた訳です。   

















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