ぶんめいのえいちをみるのです
minmr kasmi
知性の夜明け(われわれはかしこいので)
「『かくよむちほー』? なんだろう、これ・・・・・・」
そのフレンズは、二足の脚で立っていた。
片手にはめらめらと燃える松明を掲げ、もう片方の手には拾った石と木を組み合わせた奇妙な道具を握っている。
「かばん、何を言っているのですか?」
唐突に発した言葉を理解できず、私はそのフレンズに尋ねた。
「え? だって、ここに、書いてあったから。文字が──」
文字。
確かにその言葉を口にしたフレンズは、ある日サーバルとともにふらりとやってきた、奇妙ないきものだった。
そのフレンズは、名を「かばん」と呼ばれていた。
彼女は、自らの正体も、住処も、そして自分が何を得意としているのかさえ、何もかも思い出せないという。
だが、彼女の得意なことは際立っていた。
彼女は仲間を作るのが得意だった。
仲間を使うのが得意だった。
自分で動くことは苦手だったが、代わりにその頭と手を使って何か新しい道具を作り出し、それを用いて誰にもできないことを成し得ることができた。
かばんは、特別だった。
そんなかばんが見つけたのが、図書館の地下に隠された秘密の部屋だった。長年この図書館に住んでいた我々にも発見できなかった部屋を、彼女はいともたやすく見つけたのだ。
そうして、我々は見つけた。
地下に隠された部屋の壁一面に描かれた巨大な絵と、奇妙な文様を。
かばんは、それを文字と言った。
私には見えない。いや、正確には私には理解できない。
「あなたは──いえ、学名『ホモ・サピエンス・サピエンス』、通称『ヒト』のフレンズは──」
私は、ヒトのフレンズこと「かばん」をまっすぐ見据えながら言った。
「言語、という概念を作り出すことができます。それはおそらく、あなたの仲間だったヒトのフレンズが作ったものでしょう」
「げん、ご・・・・・・」
「ヒトのフレンズが残した手がかりかもしれません。そこには何が記されているのですか、かばん。早く教えるのです」
「ええっと・・・・・・か、かく・・・よむ? かな、これ。ええっと、こう、かな・・・・・・」
私には見えない世界が、見えない文字が、かばんには見えているようだった。
それが、「はかせ」を自称する私には、少しだけ羨ましく、少しだけ妬ましく、そして少しだけ──寂しかった。
「あ、わかったかもしれません」
そう言ってかばんは、まっすぐ壁面を見つめながらゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
* * *
「『かくよむちほーでさっかごっこ! 「けものフレンズ」川柳&SSコンテスト』
ものかきがとくいなフレンズ、あつまれ~!
ゲーム・漫画・アニメと多方面に展開するメディアミックスプロジェクト「けものフレンズ」がカクヨムの二次創作許諾作品に追加されたことも記念し、ミニコンテストを開催します。
『けものフレンズ』の二次創作小説・SS一覧(人気順) - カクヨム
今回は、けものフレンズにまつわる川柳を募集する「ごー・しち・ごーで、ゴーなのだ!」部門と、けものフレンズをモチーフとしたSSを対象にした「けものがたり」部門の2部門で作品を募集。
優秀賞に選ばれた方には、けものフレンズのちょっとうれしいグッズをプレゼント! さらに、今回の選考には少年エースをはじめKADOKAWAのコミック系編集部も参加決定! ふさわしい作品があれば、投稿作品のアイデアをもとにコミカライズされる可能性もあります。
また、コンテスト参加者全員にもチャンス! 期間内に「けものフレンズ」コンテストに応募した方全員を対象に、抽選で当たるプレゼントもご用意しました。
かくよむちほーにも”のけもの”はいません! みんなでコンテストに参加して、ドッタンバッタン大騒ぎ! しましょう。」
* * *
「・・・・・・だ、そうですけど」
読み終わったかばんが振り返った。
「どういうこと? さっぱりわかんないよ~」
後ろでサーバルが騒いでいる。
そんなサーバルを軽くいなして、かばんが言う。
「つまりこれは、お祭りなんじゃないかな」
「お祭り、ですか?」
「はい、みんなで催し物に参加して、みんなで遊んで楽しもうという、お祭り・・・・・・」
そうか、お祭りなのか──
そう聞いた途端、身構えていた気持ちが急に軽くなった。
お祭りなら、まあいいか。お祭りは楽しいものだ。楽しいことが書かれているなら、それはきっといいことだろう。
「かばん、そのお祭りは、いつ、どこでやっているのですか」
はやる気持ちを抑えられずに私は聞いた。
そんな私に微笑みかけながら、かばんは言った。
「いまからだよ。きっと楽しいから、博士さんたちも参加しましょう」
お祭りが、はじまる。
「けものフレンズ」川柳&SSコンテストが。
ぶんめいのえいちをみるのです minmr kasmi @isdr_kadokawa
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