"物語を創ることのハードルなんて決して高いものじゃないんです。
主人公が吸血鬼であっても敵を倒さなくてもいいし、ファンタジー世界に生きていなくてもいい。
そんなことを教えてくれるのが、この「偏食吸血鬼の健康への道」という作品です。
この物語の主人公、但野弘美は現代に生きる吸血鬼の末裔。
でも彼女の日常は、大学に通って学生生活を謳歌する女子大生そのもの。
そう、本当に超普通の女の子の話なんです。
吸血鬼といえば「人の血を吸うこと」がそのシンボルのように語られますが、この物語ではそんな”いかにも”なシーンは出てきません。
何故なら、彼女にとって現代人の血はまずくて飲めないから。
だから人から直接血を吸ったこともないし、普段の食事も普通の人間と変わらない。
とにかく、これはそんな現代に生きる吸血鬼の……兼、普通の女子大生、のお話なのです。
そんな彼女がある日偶然出会ったのが、同じ大学に通う理学部棟の徳海君。
ひょんなことから弘美を助けてお近づきになるのも、最初に抱いたお互いの印象はあまり良くない。
""もさもさ頭のよれよれ白衣""(※弘美談)な彼と何度か顔を合わせている内に、彼女はあることに気づいてしまうのです。
──あれ、彼の血、臭くない? むしろいい匂い!? っていうか、美味しそう……!?
はい、きたよっ なるほどねそういう出会いね、なるほどなるほどラブがコメってきましたよっ!
今紹介した”見た目中学生の女子大生吸血鬼”弘美と”無愛想でもさもさ頭だけど意外と面倒見のいい”徳海君の他にも、
”狼男っていうかほぼ狼”の弟・康平とその中学校の先輩で図書委員の新藤先輩(気づいたかね?ここにもラブコメがあるよ)、
さらに幽霊や美人ヘッドハンティングエージェント、ライバル(自称)のサキュバスまで……と、
個性豊かなキャラクターがわんさか登場して、話が進む毎にどんどんと賑やかで楽しくなってくるからもう大変。
ここから先の楽しさは、実際に読んで味わってみてください。