青春さよなランナー

@prank

初詣

 -1月1日-


 俺らはみんなで初詣に行くことになった。

しかし今年の元旦は例年より3度も気温が低くて凍え死にそうだった。

「うぅ...さっぶ...」

「まぁ神社ついたら、あったかいものでも食べようぜ!」

「おう...そうだな」

これから向かうのは山郭神社さんかくじんじゃ。僕らが住む星霜町せいそうちょうの中心にある大きな神社だ。

おっと、紹介を忘れたね。俺は北須ほくす 吉平きっぺい。星霜高校の一年生。

こいつは、堀田ほった 貞一ていいち。高校は郡取製菓専門高校ぐんどりせいかせんもんがっこう。料理の腕は給食室のおばさん級。

そしてこいつは、尾瀬びせ 意武人いぶと。高校は紀野商業高校きのしょうぎょうこうこう

この3人で初詣に行くことになった。


「寒いのに結構人いるね」

それもそのはず。ものすごく長い歴史を持っていて、全国的に有名な神社なので、よその県から来る人が多く、中には外国から来る人もいる。

鳥居をくぐるとたくさんの屋台が出ていた。

そば、やきとり、甘酒。

「そば食べたいんだけどなぁ」

買おうにも長蛇の列で、最後尾まで100人近く並んでいる。

貞一がしつこく「食べたい」と言ってくるので、仕方なく一番後ろに並んだ。

待つこと15分。ようやく順番が来た。

「そば、3つで」

「はいよ、450円な」

そばからは白い湯気が立っていて、見てるだけで寒さを忘れそうだった。

「ゴミ、捨ててくるよ」

貞一は満足そうな顔でゴミを回収した。

「んじゃ、そろそろお賽銭といきますか」

「そうだね」

「ねぇ、いくら入れる?」

「俺は定番の5円かな。ご縁がありますようにってな」

「そういうのだったら、まだいろいろあるよね。25円なら二重(二十)にご縁(五円)がありますよう。とか485円なら、四方八方からご縁がありますように。とか、10000円ってのも円満(円万)に通ず。って意味であるらいいよ」

「そんじゃ、俺25えーん」

「じゃあ10円でいこっと」

吉平は5円。貞一は25円。意武人は10円をそれぞれお賽銭に入れた。

「よぉーし、そろそろ帰るかー」

「神社来たからさ、最後におみくじやってこうよ」


「そこのおみくじを引いて番号を見せてください」

ガシャガシャ。

「えーっと、これは、15番かな」

「15番ですね。こちらになります」


「...」

「大吉来たー!」

「まじかー末吉だー」

「うっわ、小吉かよ」

吉平が小吉、意武人は末吉、そして貞一が大吉。

「意気投合してやさしいロマンスの花が咲。今の縁談は良縁。早くまとめた方がよい...今年はいいことが起きそうだ!」

「もうこんな時間か、初日の出行くんだろ?そろそろ帰って仮眠とんないと」

時計の針は午前3時を回っていた。

今日の日の出は5時37分。雲の全くない晴天なので、綺麗な日の出が見れそうだ。

「よし、帰るか」

3人は神社を後にし、海に家が近い貞一の家に向かっていった。








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