中世ヨーロッパは厳しい世界
ハルキは目を覚ました。カーテン越しに朝日の光が差し込み、すずめの鳴き声がする。
ハルキ「よかった。夢だったんだ。それにしてもすごいリアルだったような……」
今日は日曜日。登校しなくていいので、さっそく学習机に座ってノートパソコンを開いた。
小説投稿サイトで公開している作品の、続きを書こうとしたのだが。
ハルキ「うーん。これでいいのかな、ぼくの小説。ファンタジーだから好きなように書いていたけど、こんな簡単に強くなって、あっけなく戦争に勝っても、物足りないような」
納得できないハルキは朝食をすませて、図書館へ行った。
そこで中世ヨーロッパについて書かれた本を見つけて読む。しかし見たことのない単語や地名、人名がたくさん出てきてなかなか頭に入らなかった。
それでも読んでいると、今まで自分が想像していた世界と、実在していた世界があまりにも違うと知る。
ハルキ「病気をしたら血をたくさん抜いてたのか。瀉血っていうの、初めて知った。今だったら、ありえない治療法だよなあ。それに虫歯になったら歯を抜かないと死んでしまうんだ。ぼく、中世ヨーロッパで生まれていたら、生き抜いた自信がないなあ」
うんうんと考え、ハルキは小説の展開を変えた。
勇者ハルキは剣と盾で騎士といっしょに闘い、騎士団長ヨハンは姫君を守るため、崩れた城壁で敵兵と闘った。
ついにハルキらは勝利をおさめるものの、騎士団長ヨハンは戦死してしまう。命をかけて姫君を救ったヨハンは、聖騎士の身分を授けられ、英雄として称えられたという。
ヨハン「結局、私は戦死したのか。生き抜いて焼き立ての肉と、うまいワインを楽しみたかったんだがなあ。立派な称号なんかいらん。次回作は『騎士団長は死なない』というタイトルを希望するぞ、ハルキ先生」
ぼくが書いた中世ヨーロッパ風ファンタジー小説
おわり
------------------------------------------------------------------
※あくまでも中世ヨーロッパ風に徹したら、の話です。異世界ファンタジーだったら自由に書いて問題ないと思います。
ただあまりにも近代風な習慣や道具が登場すると、明らかに違和感があるので、参考になったらいいな、という思いで公開しました。
ちなみに私は中世はあんまり詳しくないので、詳細を知りたくなったら専門書をおすすめします。中世ヨーロッパの学術書なら、文庫本でもいろいろ出ています。
あと、作中小説のタイトルと主人公名に深い意味はありません。たまたまそんなタイトルの書籍をよく目にするので、パロディ化してみました。
もちろん内容はまったく違います(笑)
まちがいだらけ(?)の中世ヨーロッパ風FT小説 早瀬千夏 @rose
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます