いずれ失われるはずの少女特有の美しさを永遠に閉じ込めたい。と願ったことがある人間は、存外多いのではないでしょうか。ですが流れる時は決して留められず、また少女の時を止めようとすれば少女の美すらも喪われてしまう以上、それは不可能。だからこそ、人間は「人形」それも少女を模した人形に心惹かれるのかもしれません。もしも美しい少女を素材に造られた人形があったとしたら……。それは非常に美しい。だけど同時に非常におぞましい存在なのでしょう。
本作の天使人形、そして本作の美しさは、凄まじい。まさに怪物的。あるいは「悪魔的」の一言がしっくりきます。怖い、恐ろしい、と戦慄しつつも、美しさに惹かれて読み進めてしまう。この魅力、まさしく悪魔的です。
先に言おう。グロテスクな表現、残酷な表現、が秀逸な作品。だからこそ、その手の表現が苦手な方は素直にこの作品を読むのをやめた方がいい。生半可な覚悟で読むと、この作品に飲まれてしまう……
キャッチコピーにあるように、「不死の少女を素材に作られた天使人形」が出てくるお話。天使人形が何か気になった方は是非、第一話「天使の作り方」を読んでほしい
この作品の特徴はなんと言っても残酷な表現、グロテスクな表現、を上手く文章にしているところ。人が天使人形になるまでの過程がリアルに丁寧におぞましく書ける、作者の文章力に空いた口が塞がらない。文章力は天使人形の作成過程だけじゃなく、天使人形の描写にも生かされてる。第一話以降では天使人形がどんな姿形をしているのか、その残虐美についてよく書かれていて。その緻密な描写はただただ舌を巻くしかない。