童話・オブ・ザ・デッド
鶏ニンジャ
第1話 三匹の仔豚・オブ・ザ・デッド
「にいさーん!」
「クソッタレ! なめるなよーーー!」
仔豚の一匹が狼ゾンビの群れに突撃し、爆発しました。
あたりにはお肉の焼けたいいにおいが立ち込め、狼ゾンビたちはお肉に夢中です。
「いくぞ! 兄さんの死を無駄にするな!」
次男仔豚が三男仔豚の腕を引き走ります。しかし、何匹かの狼ゾンビが気付いて二人を追ってきます。
「ちくしょー!」
次男仔豚は手にしたマシンガンで鉛弾をプレゼントします。狼ゾンビたちは、全身で鉛弾を受け取って倒れてしまいました。二人は、そのまま木でできた小屋へ逃げ込みます。
「ひっぐ、ひっぐ、兄さん……」
三男仔豚は泣き出してしまいました。
「泣くな! 泣いても兄さんは帰ってこないんだぞ!」
次男仔豚は怒ります。本当は自分も泣きたいくらい悲しいのに、お兄さんとして泣くわけにはいきません。
「兄さん、これからどうするの?」
「助けは呼んだ……後は、なんとか時間まで……」
ここは、海の真ん中の大きな島です。仔豚たちは秘密の研究所に宝物を探しに来ていましたが、狼ゾンビたちに襲われてしまいました。逃げる場所はありませんが、なんとか助けを呼ぶことはできました。
「お前もこれをもっておけ」
次男仔豚はマシンガンを三男仔豚に渡します。三男仔豚は涙を拭いてマシンガンを受け取ります。
ガンガンガン!
二人がマシンガンがちゃんと動くか確認していると、ドアが叩かれます。二人が窓から外を見ると狼ゾンビが集まってきてしまいました。
「兄さん……」
三男仔豚は不安そうに次男仔豚を見つめます。次男仔豚は寂しそうに、しかし、笑顔で語り掛けます。
「いいか?お前は逃げろ。なんとしても生き延びるんだ……」
「兄さん!」
「弟よ……お前だけは生きろ!」
次男仔豚は三男仔豚をしっかりと抱きしめます。三男仔豚もお兄さんたちの気持ちを無駄にしてはいけないと強く思いました。
「兄さん……必ず生き残ります!」
三男仔豚は裏の出口から逃げ出します。次男仔豚はそれをしっかりとみると、窓を壊して、外の狼ゾンビたちに鉛弾をプレゼントします。
「お前らに弟をやらせるかぁ!!」
しかし、狼ゾンビの数はおおく、とうとう家の中に入られてしまいました。
プレゼントがなくなってしまったので、次男仔豚は大きなナイフを使います。しかし、狼ゾンビはどんどん、どんどんやってきます。
そして、ついに次男仔豚はかまれてしまいました。
「ここまでか……弟よ……生きろ!」
次男仔豚はパイナップルを爆発させました。狼ゾンビたちもこれにはたまらず、みんなバラバラになってしまいました。
「兄さん……」
最後の仔豚はその爆発を遠くで見ていました。しかし、泣きません。強く生きていくと心に決めたからです。
不気味な夜の森の中、仔豚はどんどん進んでいきます。
「うわ!」
仔豚は転んでしまいました。服は泥だらけ。体も疲れてもう動けません。
仔豚は空を見上げお兄さんたちのことを思い出しました。
一緒に遊んだこと、一緒にご飯を食べたこと、一緒にいろんなところに行ったこと……仔豚はいろんな事を思い出しているうちに、心の奥である気持ちが強くなっていきました。
「ふざけるなよ……ふざけるなよ!! 絶対に生き残ってやる!!」
仔豚は、とってもとっても怒りました。立ち上がると、どんどん進んでいきます。
しばらく進むと、鉄でできたおうちを見つけました。家の中には油や、発電機など色々なものがありました。
「兄さん……見ていてください……」
トントントン! カンカンカン!
仔豚は鉄のおうちを家にあるもので飾り始めました。
トントントン! カンカンカン! ガリガリガリ!
やがて鉄のおうちは狼ゾンビにも負けないような素敵なおうちになりました。もう、お日様も登り始めています。
「さあ! こい!」
仔豚が栄養満点のお菓子を食べながら外を見ていると、狼ゾンビたちがやってきました。
「グォォォ……」「ガァァァ……」
それは、すごく怖い声でした。仔豚は怖くて怖くてたまりません。でも、お兄さんたちの姿を思い出すと勇気が湧いてきました。
「兄さん!」
仔豚がボタンを押すと目の前が火の海になりました。油をまいておいたのです。
「グォォォ……」
まだまだ、狼ゾンビはたくさんいます。仔豚は別のボタンを押します。
「グゥォォォ……」
今度は電気が流れます。狼ゾンビたちは黒こげになってしまいます。
「ガァァァ……」
数人の狼ゾンビが家までたどりつき、煙突から中に入ろうとしてきます。
仔豚はボタンをします。すると、炎が柱のように煙突を抜け狼ゾンビたちは灰になってしまいました。しかし、まだ狼ゾンビたちはいます。仔豚は決めました。
「皆殺しにしてやる!」
仔豚は外に飛び出すと、鉛弾をプレゼントします。
プレゼント、プレゼント、プレゼント……
一人も残らずにプレゼントしていきます。
「はぁはぁはぁ……」
狼ゾンビのみんなにプレゼントを渡し終わった仔豚は、疲れてしまい膝をついてしまいます。まわりには嫌な臭いがしています。
しかし、まだまだ狼ゾンビたちがやってきます。
プレゼントはもうありません。仔豚は最後のパイナップルを握りしめます。お兄さんたちに会いに行くのに恥ずかしくないようにと思いました。しかし、その時です。
パタパタパタパタ
ああ、なんてことでしょう! 一台のヘリコプターが現れました!
バラバラ「グァァァ……」バラバラ「ギャァァ……」
ヘリコプターは狼ゾンビたちにたくさんの鉛弾をプレゼントしていきます。
狼ゾンビたちは鉛弾を貰い過ぎてみんな動けなくなってしまいました。
ヘリコプターが着地すると一人の軍人さんが降りてきました。
顔には大きい傷があり、眼帯もしています。とてもとても強そうな男の人です。
「大丈夫か軍曹! 他に生き残りは!」
「生き残りは私だけです! 他の隊員は戦死しました!」
仔豚は泣きそうになりながら言います。
「わかった! 乗れ、この島を爆破するぞ!」
二人はヘリコプターに乗り込みます。
大きな島を離れると男の人がボタンを仔豚に渡します。
「兄さん……ありがとう……」
ボタンを押すと島は大爆発。爆発はあっちこっちで起こります。
「貴様はこれからどうする? 除隊するのであれば生活は……」
「いえ、戦います! 奴らを一匹でも多く殺してやります!」
軍人さんが言い終わる前に仔豚が叫ぶように言います。
「……わかった。地獄へようこそ! 期待しているぞ軍曹!」
二人は握手をします。
島は赤々と燃えあがり、ヘリコプターは朝日に向かって飛んでいきました。
めでたしめでたし
童話・オブ・ザ・デッド 鶏ニンジャ @bioniwatori
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