タイムリンク

araran

第1話僕が守るから…

「二番隊!応援を至急応援を!避難を優先せよ!」

「はっ!」



サイレンの音が鳴り響く街中。多くの家が燃えている。

瞳にはヴァンパイアがウィッチを次から次へと殺していく姿が映る。

そんな戦火の中ユーリスは弟と地下の隠し部屋に隠れていた。



「うぇーん、兄ちゃん怖いよー」

「大丈夫だ!兄ちゃんがついてるんだ。ユウキは安心して寝てていいよ」


父と母はユーリスたちを守るため、家を出て路地にいるヴァンパイアと戦っている。彼らのスペルを駆使して。



「実際この隠し部屋なら安全だぜ!ユウキも安心して…


「おっと、こんなとこに可愛いウィッチちゃんが二人も♪」


「なにっ!!!」


「さっきから君たちの声が聞こえてたんだよ。だからこっちに来てみたけどどうやら正解だったようだね」


「ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」


「おめーらまとめて俺が喰らって…」


一瞬、ヴァンパイアの姿が消えた。ヴァンパイアは横から思いっきり吹っ飛ばされた。壁に大きく背中を打つ。


「おえっ」


そこに立っていたのはユーリスの父だった。


「ピーすか抜かしてんじゃねーぞ!」



「ユーリス!ユウキを連れて逃げろ、俺がこいつとやる」


「でも…そしたらお父さんは」


「お前も男だろ!だったらお前はユウキを守れ!ユウキのことはまかせたぞ!」


「逃がさないよーん♪」


ヴァンパイアの放った鋭利なナイフが弟に突き刺さる。


「おめーの相手は俺だぞ!」


「ユウキ、立てるか?」


「うん。早く逃げよう」


瞳に溢れんばかりの涙を袖で拭き、嗚咽を漏らしながら火の中を駆け抜ける。あちこちから悲鳴が聞こえる。

でも後ろをユーリスは後ろを振り向かなかった。


「お兄ちゃん、ちょっと待って!」


「どうしたユウキ避難区域まではあと一歩……!!!」


「その怪我は!出血が酷すぎる!さっきヴァンパイアのナイフがどんどん巨大化してる!?」


「あらあら、君達またあったねー♪」


「くっ!!ユウキに何をしたんだ!!おい、なんでこんなひどいことをっ!!!」


「いいね、いいね!その瞳が僕を興奮させるよ!じゃあ頂くとしようか」


ヴァンパイアの矛先が向けられる。その鋭い爪先でえぐられる情景が思い浮かぶ。


「死の前はこんなにも時間が遅く感じるのか…」


その刹那目の前が光り輝き見えなくなった。何が起きたのか。ユーリスの前には光り輝く壁が。そこに立っているのは弟のユウキだった。ヴァンパイアの爪先はのべてユウキを貫き、ユーリスにまで届くはずだった。だか壁がそれをさせんとしてる。


「お兄ちゃん、今僕とってもかっこいい?」


「おい、、、ユウキ!お前はなにやってるんだよ!!」


「僕はね、ほんとはお兄ちゃんみたいになりたかったんだ。だから人生で一回くらいかっこいいことさせてよ?」


「なんで…なんで!!!!!まるで最後みたいなこと言うなよ!」


「お兄ちゃんはいつまでも僕のヒーローだよ?」


赤色の雨がユーリスに降り注ぐ。赤色の雨が壁が放つ光がを反射して輝く。


「シールドか、なかなかいいものもってるね〜♪」


「ユウキ…嘘だろ、、嘘って言ってくれなきゃ俺はお父さんに合わせる顔がないよ、、ねぇ、嘘なんだろ?こんなこと全部!ああ、夢なんだ。これは…」


「夢などではない」


その瞬間雷が落ちたような地響きした。目の前にヴァンパイアの姿はない。だか、視線の先にはヴァンパイアらしき黒焦げの死体があった。


ユーリスは意識を失った。

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