夢を見る人、夢に見る人、夢を見守る人、夢で見守る人

おとなしい大学生の雪、彼女が想いを寄せる行平。
雪はあるとき、夢を巡る不思議な出来事に気付き、
それを行平に語ってみる。行平は話に耳を傾ける。

行平の章に入ると、夢も現実も次第に頼りなくなる。
彼が一体どこに立っているのか、わからなくなる。
明るくも暗くもない闇のようなプロローグに辿り着く。

喫茶店の飲み物のぬくもりや、ワインや花束の赤色。
そうした端々の描写が美しく印象的で、心を惹かれる。
満ち足りたような空虚なような、不思議な読後感だった。

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