スシ(概念)
捨 十郎
スシとは何か(哲学)
筆者にはスシとは何か分からない。
分からないならまず辞書を引くべきだ。
手元の広辞苑では以下のように説明している。
酢と調味料を適宜に混ぜ合わせた飯に魚介類、野菜などを取り合わせたもの。
その通り。これが私の知る寿司である。
私は寿司については知っている。寿司屋に行き、寿司を食べたことも、もちろんある。
では何が分からないのか。哲学っぽく、分からないそれを内包した寿司をスシと呼ぼう。
つまり スシ ⊇ 寿司である。部分集合である。
まず魚介類が苦手な友人Aがいると仮定する。
実際にいるのだが、その存在を証明する手段がここにはないので、仮定として書く。
彼はすし屋に行くのが好きである。
すし屋で出される物は当然寿司なはずだ。
広辞苑によれば寿司には魚介類が乗っている。
しかし友人は魚介類が食べられない。
矛盾である。簡単な三段論法(四段?)のはずなのに論理不成立である。
聡明な読者諸兄にはこの矛盾のカラクリにすぐ気づいたことだろう。
彼はすし屋でハンバーグ寿司を食べるのである。他にもすし飯カレーライスやパイナップルを食べるのである。ラーメンを(以下略
これらを寿司と見なそうとするだけで私は眩暈がする。どうしても許せない。
だから私はこう考える。これらは寿司ではない。スシなのだ。
これらのメニューを出す、某すし屋チェーンに非は無い。魚介類が食べられない方でも楽しめるお店を目指した結果、つまりユニバーサル化が進んだ結果と思えば今の時風に合っている。何より自由競争社会では売れたものが正義なのだから。
とはいえハンバーグ寿司も、カリフォルニアロールよろしく市民権を得ることが今後あるかもしれない。その時は筆者も覚悟を決め、スシなどとふざけた定義をせず、寿司として彼らを迎え入れたいと思う。
最後になるが筆者は、北海道の根室管内に在住している。ここで食べられる、根室のサンマを使った寿司は絶品である。根室に来られた際は是非一度ご賞味を。
スシ(概念) 捨 十郎 @stejulon
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